一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R4: 地球表層・環境・生命

2019年9月21日(土) 14:00 〜 16:15 大講義室 Ib (大講義室)

座長:川野 潤、横山 正、宇都宮 聡

14:45 〜 15:00

[R4-04] 鉱物の濡れ性の違いが溶解挙動に及ぼす影響

*横山 正1、西山 直毅2 (1. 広大・院総科、2. 筑波大・院生命環境)

キーワード:溶解、間隙水、濡れ、水膜

地表付近の岩石内部は,間隙の一部に空気が入った不飽和状態になることが多い。間隙中の空気の存在が鉱物の溶解に及ぼす影響を調べるために,石英,カリ長石,炭酸塩鉱物などからなるBerea砂岩を用いて,飽和状態と不飽和状態の両方で岩石内部に水を流して,元素の溶出量を比較した。不飽和状態の実験として乾燥試料に水を流すと,開始後約8日間は間隙中に空気がある状態が続き,徐々に空気が減少して最終的には間隙が水で満たされた。炭酸塩鉱物から溶出するCaについては,間隙中に空気がある間は溶解速度が飽和状態より小さかった。一方,珪酸塩鉱物から溶出するSiについては,空気がある状態でも飽和状態との溶解速度の違いがなくなった。炭酸塩鉱物と比べて珪酸塩鉱物の表面では鉱物表面を濡らす水膜が厚くなりやすいと推定され,このため空気がある状態でも珪酸塩鉱物では水膜を介した溶解が効率よく進んだと考えられる。