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[R6-03] 阿武火山群と青野山火山群のマグマ過程と火山地形
キーワード:阿武/青野山火山群、アルカリ玄武岩、アダカイト、マグマ過程、火山地形
阿武火山群は山口県北部に分布し,安山岩〜デイサイト噴出物(溶岩)は,台地状の特徴的な火山地形が発達し,溶岩平頂丘と呼ばれている。この安山岩〜デイサイト溶岩は玄武岩マグマと流紋岩マグマの混合によって生じたとされ,玄武岩質端成分としてアルカリ玄武岩が想定されている。一方,ほぼ同時代に活動した安山岩〜デイサイトが島根県から山口県にかけて分布する。これらは青野山火山群と呼ばれ,ドーム状の火山地形が発達する。こうした地形の違いはマグマの粘性度を反映すると考えられるが,異なる火山地形でも溶岩の組成は,両火山群ともに安山岩〜デイサイト質である。阿武火山群の安山岩〜デイサイトには,アルカリ玄武岩によるマグマ混合の影響が組成に反映され,よりK2OやRbに富む傾向を示す。角閃石の組成を地質温度計に適応した結果,阿武火山群のマグマ温度は1050 ˚Cに達し,青野山火山群の温度(<950 ˚C)よりも高い。アルカリ玄武岩マグマを混合した阿武火山群の安山岩〜デイサイトマグマは,高いK2Oに加えて高温の状態で噴出した可能性がある。その結果,マグマは粘性に乏しく,台地状の火山地形を形成したと推察される。