一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

R6: 深成岩・火山岩及びサブダクションファクトリー

2019年9月21日(土) 14:00 〜 16:15 大講義室 Ia (大講義室)

座長:亀井 淳志、江島 圭祐、児玉 省吾

14:45 〜 15:00

[R6-04] 流体包有物に記録されている沈み込み帯流体の塩濃度

*川本 竜彦1 (1. 静岡大学・理・地球科学)

キーワード:流体包有物、塩濃度、蛇紋石、メルト包有物

島弧玄武岩に含まれるカンラン石中のガラス質包有物の塩素と水の比は、1−15%の広い範囲を持つ(Wallace 2005, JVGR)。一方、マントルカンラン岩や高圧変成岩中に含まれる流体包有物の塩濃度は、海水よりもやや高い値を示すものが多かった(Kawamotoほか、2013、PNAS、Kumagaiほか、2014、CMP、Fukuyamaほか、2017、JMPS、Kawamotoほか、2018、Lithos)。最近、低温・低圧条件でできたと考えられる石英と炭酸塩鉱物からなるリストヴェナイトは、特徴的に低い塩濃度をもつことがわかってきた(川本ほか、2018年日本鉱物科学会、Kawamotoほか、2019年日本地球惑星科学連合大会)。これとは逆にBrineと呼んでも良いような高濃度の塩水がヒスイ輝石岩中の石英にあり、一つの岩石中の流体の塩濃度をすべて説明することが難しい時がある (Fukuyamaほか、2017、JMPS)。メルト包有物のデータと流体包有物のデータを統一的に説明することで、沈み込み帯流体の塩濃度変化を理解したい。