一般社団法人日本鉱物科学会2019年年会・総会

講演情報

口頭講演

S2: 岩石-水相互作用 (スペシャルセッション)

2019年9月20日(金) 15:30 〜 17:00 大講義室 Ia (大講義室)

座長:土屋 範芳、河上 哲生

15:30 〜 15:45

[S2-01] 地殻の透水性と付与される流体の量

*土屋 範芳1、宇野 正起1、Fajah Amanda1、Diana Mandaleva1、東野 文子2 (1. 東北大・院環境、2. 岡山理大・理)

キーワード:拡散、浸透率、水の量、流体流動、地殻流体

沈み込み帯において,島弧地殻にどの程度の水が供給されているかは,沈み込み帯全体での水の循環(物質収支)から考える必要がある.このとき,地殻内の流体流動の基本的なプロセスは,濃度勾配に起因する拡散現象と圧力勾配に起因する流動現象に大別される.拡散現象は,拡散方程式,流動現象はダルシー則で記述されるのが一般的である.また,拡散現象に流れが加わると移流―拡散方程式となるが,この場合の移流項は,ダルシー則から求められる流速に支配される.
これらの移動プロセスで物質や環境により大きく変化するのは,拡散係数と浸透率(透水係数)である.拡散係数については,さまざまな研究が進められ,実験的も現象論的にも,一定の数値が推定されている(Higashino et al., 2019).一方,地殻深部での浸透率は充分には明らかになっていない.本研究では,下部地殻においては,変成作用ならびに火成作用により母岩に供給された流体量とその移動現象を解析し(Uno et al., 2017, Amanda, et al., 2019),下部地殻環境での岩石マトリックスの着目成分の拡散係数ならびに流体の浸透率を求めた.