一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R2:結晶構造・結晶化学・物性・結晶成長・応用鉱物

2021年9月16日(木) 14:00 〜 17:15 Zoom Session 2

座長:小松 一生、篠崎 彩子、永嶌 真理子

15:20 〜 15:35

[R2-06] Fe,CoおよびNiを含むPentlanditeの陽イオン分布の決定

「発表賞エントリー」

*市村 卓視1、徳田 誠2、杉山 和正2、吉朝 朗3、三河内 岳4 (1. 東北大・院工、2. 東北大・金研、3. 熊大・理、4. 東大・総博)

キーワード:ペントランダイト、異常散乱法、陽イオン分布

Pentlanditeは,Fe, CoおよびNiなど原子番号が隣接する元素を含む硫化物である.単位胞中の4個の八面体席(MO)および32個の四面体席(MT)に遷移金属原子が位置した構造を取る.理想的にはM9S8 (M = Fe, Co, Ni)という組成式で表される.このような系における陽イオン分布の決定には,目的元素のシグナルを際立たせる異常散乱(Anomalous X-ray Scattering: AXS)法が強力なツールとなり得る.そこで本研究では,AXS法を用いてpentlanditeのFe, Co, Ni分布の決定を試みた.
試料は長野県天竜鉱山より産出したpentlanditeを使用した.EDSによる組成分析の結果構造モデルをFe4.1Co0.2Ni4.7S8としてAXS解析を行った.解析はFeおよびNi吸収端近傍の異なるエネルギーのX線を用いて行った.
AXS解析により得られた構造因子の差をフーリエ変換して算出した陽イオンコントラストマップから,Feについて,MOおよびMTどちらのサイトにも分布していることが明らかになった.一方Niについては, MT席のみに分布していることが判明した.