一般社団法人日本鉱物科学会2021年年会・総会

講演情報

口頭講演

R4:地球表層・環境・生命

2021年9月16日(木) 14:00 〜 17:15 Zoom Session 3

座長:福士 圭介(金沢大学)、横山 正(広島大学)、川野 潤(北海道大学)、佐久間 博(物質材料研究機構)、宇都宮 聡(九州大学)

16:15 〜 16:30

[R4-09] 炭酸カルシウム1/2水和物の生成条件

*酢山 真衣1、福士 圭介1、北島 卓真1 (1. 金沢大・院理)

キーワード:炭酸カルシウム1/2水和物、溶解度、前駆体、生成条件

Zou et al. (2019)にて炭酸カルシウム1/2水和物(CCHH, CaCO3・1/2HO)が世界で初めて合成された。CCHHは地球上に豊富に存在する成分から容易に合成されるため、自然界に存在している可能性が高いが、未だ自然界では発見されていない。そこで、本研究はCa、Mg、CO3を含む初期溶液から様々な濃度条件で炭酸カルシウムの形成を試みることによりCCHHの生成条件を明らかにすることを目的とした。Mg濃度とCO3濃度が共に0.04 mol/kg 以下の条件以外で生成が確認され、CCHHに対して成分濃度が過飽和であれば生成することを示唆している。本研究でCCHHとカルサイトとバテライトの混合物、またMHCへの転移が見られたことから、CCHHはそれらの前駆体である。したがって、溶解度もMHCとACCの中間にあることが推測される。MHCよりも過飽和な条件を有する天然水はアルカリ湖が合致する(Fukushi and Matsumiya 2018)。そのため、CCHHはアルカリ湖に存在する可能性が高い。CCHHもMHCと共にアルカリ湖の水質を制御している重要な炭酸カルシウムであるかもしれない。