4:00 PM - 4:10 PM
[O2-D-PM2-01] Analysis of neural circuits from the mouse trigeminal nuclei to the cerebral cortex using adeno-associated virus vectors.
Keywords:三叉神経、視床、痛覚
頭頸部の感覚は三叉神経節を介して三叉神経脊髄路核(SpV)と主感覚核(Vpri)へ伝えられる。Vpriには識別性の感覚が入力し、SpVには侵害性の感覚が入力するとされる。さらにSpVには中間亜核(SpVi)と尾側亜核(SpVc)といった亜核が存在する。これらの三叉神経核が形成する神経回路の詳細や機能の違いは分かっていない。本研究では、C57BL/6Jマウスにアデノ随伴ウイルスベクター(AAV)を感染させて 、神経経路特異的に標識し、軸索の形態解析と光遺伝学による機能解析を試みた。順行性感染するAAV2/5-DIO-GFPを三叉神経核に注入し、さらに、逆行性感染するAAVrg-Creを視床に注入することで、三叉神経核から視床に投射するニューロンのみをGFPで標識した。その結果、SpViは主に視床後核、後内側腹側核、内側下核に軸索投射し、SpVcは主に後核の最後部と髄板内核群に投射した。Vpriは主に後内側腹側核に投射した。次に、順行性の越シナプス性AAV2/1-Creを三叉神経核に注入し、さらに、順行性感染するAAV2/5-DIO-GFPを視床に注入することで、三叉神経核ニューロンがシナプス結合する視床ニューロンを標識した。その結果、SpViは視床を介して大脳皮質第一次・第二次体性感覚野(S1・S2)の吻側に多く軸索投射し、一方、SpVcはS2の尾側や島皮質に多く軸索投射するという違いが観察された。また、Vpriは主にS1に軸索投射した。機能解明のため、AAVにより光活性化チャンネル(ChR2)をSpVニューロンに発現させて、473 nmで発光するLEDで興奮させたところ、痛みに関連するとされる、口唇をぬぐう行動が有意に増加した。以上より、Vpri, Vpri, SpVcはそれぞれ異なる神経経路を介して、大脳皮質の異なる領野に情報を送り、異なる役割を担うことが示唆された。