第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:口演発表

一般口演 炎症・免疫

2023年9月18日(月) 08:30 〜 09:40 D会場 (431講義室(4号館3F))

座長:常松 貴明 (徳大 院医歯薬 口腔分子病態)

09:30 〜 09:40

[O3-D-AM1-07] Interleukin-1 receptor type 2 (IL-1R2)の機能

〇浅野 正岳1 (1. 日大 歯 病理)

キーワード:IL-1R2、シグナル伝達、デコイ受容体

IL-1R2は、リガンドであるIL-1に結合できるが、細胞質内にToll/IL-1 receptor (TIR) domainを有しないためシグナル伝達できないデコイ受容体として知られている。従って、IL-1R2はIL-1によって惹起される免疫反応を抑制する分子とされている。しかし、IL-1R2の機能は、マクロファージなど特定の細胞においてのみ発揮されるなど、その作用メカニズムについては充分に解明されていない。本研究では、IL-1R2の細胞内での機能に着目し、その機能解明を目的とした。
 実験にはヒト子宮癌由来培養細胞であるHeLaおよびヒト口腔扁平上皮癌由来培養細胞HSC3を用いた。IL-1R2の様々なdeletion mutantの発現ベクターを構築し、IL-1α発現ベクターと共にtransfectionを行った。IL-1R2およびIL-1αの発現を免疫蛍光染色およびwestern blotにより検出するとともに、IL-1αの分泌効率はELISA kitを用いて検索した。HSC3におけるIL-1R2のknockdownはshRNAを用いた。
 IL-1α transfectantのIL-1α分泌量を100%としたとき、wild type IL-1R2とのco-transfectantでは、IL-1α分泌量は47.0 ± 0.2% に低下した。一方、細胞膜貫通領域および細胞質領域を欠失したmutantでは、分泌抑制は見られなかった。また、IL-1αの核移行シグナルを欠失したmutantにおいてもこの傾向は同じであった。一方、HSC3のIL-1R2発現をshRNAにより低減させても、IL-1αの分泌増強は確認できなかった。
以上のことから、IL-1R2は、IL-1αの細胞外分泌に対して抑制的に作用していることが考えられ、この機能には細胞膜貫通領域が重要であることが明らかとなった。