第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:口演発表

一般口演 骨2

2023年9月18日(月) 09:40 〜 10:50 E会場 (441講義室(4号館4F))

座長:津田 啓方(日大 歯 生化)

09:40 〜 09:50

[O3-E-AM2-01] 骨芽細胞の分化における蛋白質脱リン酸化酵素の活性とO-GlcNAc転移酵素の局在

Heriati Sitosari1、福原 瑶子1、池亀 美華1、〇岡村 裕彦1 (1. 岡大 学術院 口腔形態)

キーワード:骨芽細胞、蛋白質脱リン酸化、蛋白質糖鎖化

蛋白質翻訳後修飾は骨芽細胞の分化を含む様々な細胞動態の変化において重要である。O-GlcNAc糖鎖修飾は標的となるセリン/スレオニン残基がリン酸化されている場合には生じない。そのため,O-GlcNAc糖鎖修飾と蛋白質脱リン酸化には何らかの関連があると考えられる。我々は,蛋白質脱リン酸化酵素PP2Aの発現と活性の低下が骨芽細胞の分化に重要であることを報告した。本研究では, 骨芽細胞の分化におけるPP2Aの活性とO-GlcNAc転移酵素OGTの局在の変化および培養液中のグルコース濃度の影響について解析した。 骨芽細胞MC3T3-E1をPP2A阻害剤であるオカダ酸(OA)で処理するとOGTは核内から核外へと移行した。MC3T3-E1細胞を分化誘導培地で培養したところ,1~3日目にかけてOGTが核内から核外へと移行した。高濃度のグルコースは,PP2Aの活性を増加させ,OGTの移行を阻害した。また,高濃度のグルコースの存在下では骨芽細胞の分化に重要な転写因子Runx2とSp7のO-GlcNAc糖鎖修飾が亢進していた。以上の結果より,骨芽細胞において核内のOGTはRunx2とSp7のO-GlcNAc型糖鎖修飾を担っていると考えられる。PP2Aの活性低下はOGTの核外移行を誘導し、これらの転写調節因子の糖鎖修飾を減少させ,骨芽細胞の分化を促進することを示唆している。高濃度のグルコースはPP2Aの活性を高く維持することで,OGTの核外移行を阻害し、骨芽細胞の分化を抑制すると考えられる。COI: なし