第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:モリタ優秀発表賞 ポスター発表

モリタ優秀発表賞ポスター発表

2023年9月16日(土) 13:20 〜 19:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P1-2-48] ボーンブロスがもたらす骨粗鬆症予防効果について

〇関 結香1、大熊 理紗子2、宮川 友里3、唐木田 丈夫2、山本 竜司2、山越 康雄2 (1. 鶴大 歯、2. 鶴大 歯 分子生化、3. 鶴大 歯 小児歯)

キーワード:ボーンブロス、骨粗鬆症、破骨細胞

ボーンブロス(BB)は牛、豚、鶏、魚などの骨から抽出したスープで現代人に不足する多くの栄養素を補うスーパーフードとして近年脚光を浴びており、整腸作用、美肌効果などが報告されているが、骨粗鬆症に対する効能については知られていない。【目的】本研究では骨粗鬆症の予防に関連するBB中の成分と効能について調べることを目的とした。【材料および方法】生化学実験:BBをイオン交換クロマトグラフィー(IEC)によって分離し、分離画分をマウスマクロファージ様細胞(RAW264細胞)に添加して破骨細胞への分化に対する影響を酒石酸抵抗性酸ホスファターゼ(TRAP)活性及びTRAP染色にて調べ、破骨細胞分化に抑制効果を示した画分(BB抽出画分)中の成分を質量分析にて同定した。動物実験:8週齢メスSDラットの卵巣摘出手術(OVX)を行い、閉経後骨粗鬆症モデルを作製した。ラットを1)偽手術群、2)OVX・対照群、3)OVX・BB投与群、4)OVX・BB抽出画分投与群の4群に分け、OVXから1週間後に水、BBまたはBB抽出画分を5mL/kgの用量で10週間毎日経口投与した。投与期間終了後に脛骨、大腿骨、腰椎を採取し、骨密度をµCTで測定した。【結果】生化学実験では、BBはIECにより4つの画分(a~d)に分離され、c、d画分にRAW264細胞に対する破骨細胞分化抑制が見られたので、BB抽出画分とした。BB抽出画分には酸性タンパク質及び低分子タンパク質が多く含まれており、質量分析により、トロポミオシン、トロポニンC、コラーゲンが主成分であることが判明した。動物実験では、偽手術群と比較してOVX・対照群では明らかに骨密度の減少が観察され、BBおよびBB抽出画分投与群では一部骨密度減少の抑制効果が見られた。【考察】BB中には破骨細胞分化を抑制する成分が含まれており、骨粗鬆症の進行を抑制することが示唆された。