第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月17日(日) 09:00 〜 18:00 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P2-2-21] 滑走運動細菌 Flavobacterium collinsii のコロニー拡張

〇佐藤 啓子1、近藤 好夫1、佐藤 主税2、内藤 真理子1、門脇 知子1 (1. 長大 院医歯薬 フロンティア口腔科学、2. 日大 医)

キーワード:滑走運動、Flavobacterium、バイオフィルム

歯周病は複数の細菌が関与する混合感染症であり、特定のタンパク質分泌装置(Type IX Secretion System: T9SS)を持つ数種の細菌の存在下でバイオフィルムの病原性が高まる。T9SSは主要な歯周病関連菌の Tannerella forsythia, Prevotella intermedia 等、バクテロイデーテス門細菌に広く保存され、30種類以上の病原因子の分泌に関わり、病原性発現に関与していると考えられている。T9SSはタンパク質分泌装置としてだけでなく、滑走運動装置としても機能している。この滑走運動はバイオフィルム拡張に関わり、口腔内T9SS滑走細菌Capnocytophaga gingivalisは口腔内バイオフィルム拡張に寄与している可能性が報告される。 T9SS滑走運動細菌は滑走運動により、寒天培地上で拡張したコロニーを形成する。拡張コロニー内部では、ベジクルやファイバー様構造物で満たされた細胞間マトリックスの中に菌体が点在し、バイオフィルム形態となる。T9SS滑走細菌Flavobacterium collinsiiについて解析を行った。プレート上でのコロニー拡張能が低下する、トランスポゾン変異株2株(FTN25およびFTN26)を分離した。滑走運動を比較したところ、両変異株とも野生株に比較して、ターンの頻度が高く、滑走速度が遅かった。コロニー辺縁を拡大すると、野生株が先頭に小集団をつくってコロニーを拡張しているところが観察された。一方、FTN25およびFTN26変異株は、小集団をつくらず、個々の菌が隣接して移動するのが観察された。一方、FTN25およびFTN26は野生株と比較して、バイオフィルム形成が亢進されていた。