第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月18日(月) 08:30 〜 15:50 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P3-2-20] IL-6のエナメル上皮腫における間質線維芽細胞からのRANKL発現および破骨細胞形成への関与

〇吉本 尚平1、岡村 和彦1 (1. 福歯大 病態構造)

キーワード:エナメル上皮腫、RANKL、破骨細胞

エナメル上皮腫は歯原性腫瘍の中で最も頻度の高い疾患である。良性腫瘍ではあるが、骨吸収を伴いながら局所侵襲的に進展するため、その治療において顎骨切除を伴うことが多い。腫瘍進展に伴う骨吸収は破骨細胞によってなされ、破骨細胞形成にはreceptor activator of nuclear factor kappa-B ligand (RANKL)が必須である。本研究ではエナメル上皮腫におけるRANKL発現を担う細胞の検索とその機序の解析を行った。病理組織を用いたin situハイブリダイゼーションにてエナメル上皮腫の腫瘍細胞ではなく、間質細胞での高いRANKL遺伝子の発現を確認した。さらに免疫組織化学的にRANKL陽性の間質細胞は線維芽細胞マーカーを発現していた。エナメル上皮腫細胞株(AM-1)とヒト歯根膜線維芽細胞(HPdLF)との三次元共培養系にて、HPdLFでのRANKL発現の亢進が認められた。また、AM-1とHPdLFとの共培養はin vitroでのマウスマクロファージ細胞株(RAW267.4)およびマウス骨髄由来マクロファージからの破骨細胞形成を促進した。AM-1とHPdLF間でRANKL発現に関わる因子を検討したところ、共培養により、両細胞におけるInterleukin-6(IL-6)の発現上昇がみられた。さらにIL-6シグナルの阻害によりin vitroでの破骨細胞形成は抑制された。以上より、エナメル上皮腫におけるRANKL発現は主に腫瘍間質の線維芽細胞によること、in vitroにおいて腫瘍細胞と間質線維芽細胞のIL-6を介した相互作用によりRANKL発現がおこり、破骨細胞形成をもたらすことが示唆された。