第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月18日(月) 08:30 〜 15:50 ポスター会場 (121講義室(本館2F))

[P3-2-29] Porphyromonas gingivalis (Pg) 対する増殖阻害と凝集を誘導する抹茶由来成分の探索

〇中尾 龍馬1 (1. 感染研 細菌一)

キーワード:Porphyromonas gingivalis、抹茶、ポリフェノール

目的: チャノキCamellia sinensisの加工品である抹茶は歯周病原細菌Pgの増殖阻害と菌体凝集を引き起こすが、これらの活性に寄与する抹茶由来成分やそのメカニズムは不明である。本研究では抹茶の化合物を精製単離し、Pgの増殖阻害と自家凝集に関わるメカニズムを明らかにすることを目的とした。
方法:Pg菌株はATCC 33277株 (野生株)およびその線毛変異株3株 (FimA-、Mfa1、FimA-Mfa1-)を使用した。抹茶ポリフェノール粗抽出と単離した化合物をPg増殖阻害試験と自家凝集試験に供試した。
結果: 抹茶ポリフェノールは、Epigallocatchin-gallate (57.3%)、Epigallocatechin (18.4%), Epicatechin-gallate (8.6%), Epicatechin (3.5%)の順に多かった。まず、ポリフェノール粗抽出物とPgを混合すると、野生株とMfa1変異株は強く凝集し、FimA-とFimA-Mfa-は凝集しなかった。単離した9つすべてのポリフェノールは、野生株を凝集させ、各ポリフェノールの凝集誘導活性に差は認められなかった。Pgの増殖についてはEpigallocatechin (MIC=250 µM)とEpigallocatechin-Gallate(250 µM), Gallocatechin-gallate (250 µM)に強い増殖阻害活性を認めたが、ガロイル基を有さないEpicatechin (>500 µM)やEpicatechin-gallate (>500 µM) には増殖阻害活性を認めなかった。
結語: 抹茶ポリフェノールは、FimA線毛依存的にPgを凝集させる。抹茶カテキン類のガロイル基がPgの増殖阻害に関与することが示唆された。 [共同発表者:成澤直規、高塚絢巳 (日本大学・生資)、池田剛(崇城大学・薬)