第65回歯科基礎医学会学術大会

講演情報

一般演題:ポスター発表

ポスター展示

2023年9月18日(月) 08:30 〜 15:50 ポスター会場 (131講義室(本館3F))

[P3-3-14] Nr5a1によるエネルギー代謝の中枢性制御機構の研究

〇伊藤 太郎1、永井 亜希子1、池田 やよい1 (1. 愛院大 歯 解剖)

キーワード:Nr5a1、視床下部腹内側核、レプチン

【目的】視床下部腹内側核(VMH)には核内受容体Nr5a1が発現しており、摂食行動やエネルギー代謝の中枢性制御機能が知られているが、その作用機序や標的分子は未だ完全に解明はされていない。レプチンはVMHのNr5a1ニューロンなどのレプチンレセプターを介して、交感神経を刺激し、中枢性に褐色脂肪細胞(BAT)での熱産生、エネルギー代謝を亢進することが知られている。本研究ではVMHにおけるNr5a1とレプチンレセプターの機能的関連を調べることを目的とした。 【方法・結果】VMHのNr5a1を破壊するためにCre-loxP法を用いてNestin発現細胞特異的Nr5a1コンディショナルノックアウト(cKO)マウスを作製した。8週齢のcKOマウスの体重及び体重あたりのBAT重量は、野生型(WT)マウスと比較し体重は有意に減少し、体重あたりのBAT重量は有意に増加した。ウェスタンブロット法を用いて褐色脂肪細胞の熱産生マーカーであるUCP-1及び脂肪分化マーカーであるPPARγのタンパク量を計測したところ、WTマウスと比較し、cKOマウスは双方有意に増加した。リアルタイムPCR法を用いUcp-1及びPparγのmRNA量を測定したところ、いずれも有意に増加していた。組織切片のHE染色を行い白色脂肪細胞の脂肪滴の長径の計測を行ったところ、cKOマウスにおいて有意に大きかった。 【考察】これまでの研究では45-55週齢におけるcKOマウスの晩期肥満が報告されている。本研究では、8週齢のcKOマウスの体重はWTマウスに比べて有意に低いことを明らかにした。cKOマウスの体重あたりのBAT重量はWTマウスと比べて増加し、BATの熱産生マーカーや脂肪分化マーカーの上昇を認められたことから、8週齢ではWTマウスよりもcKOマウスでエネルギー代謝が亢進していると考えられた。