The 67th Annual Meeting of the Japanese Association of School Health

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一般演題

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健康管理,疾病予防4(OP-0316~0320)

竹鼻ゆかり(東京学芸大学)

[OP-0320] 胃がん検診と胃がんの将来予測-罹患の減少と進行がん比率の上昇

菊地正悟 (愛知医科大学 医学部 公衆衛生学)

【目的】わが国では,Helicobacter pylori(ピロリ菌)の減少に伴い,胃がんは減少している.ピロリ菌感染者が一生のうちに胃がんに罹る確率は,男17%,女8%前後で,感染歴のない者の男1.0%,女0.5%に比べ非常に高い.わが国の将来の胃がんの状況を推測するとともに,必要な対策について検討した.【方法】減少が続く結核の状況や,胃がんが稀な欧米の状況を参考にして,可能な対策とともに検討した.【成績】現在,わが国ではピロリ菌感染は親から子への感染が主であり,100%感染しないので減少が続く.その結果胃がんは減少し続けるが,少数のピロリ菌感染者は残り,そこから胃がんの大部分が発生する.胃がんの減少により,一定年齢以上の全員を内視鏡やX線検査の対象とする現行の検診は,10年後には廃止が予想され,結核の専門家のように胃や胃の内視鏡の専門家の減少も予想される.以上から,胃がんが早期に発見される可能性は低くなり,進行がんの比率が上昇する.欧米では胃がんは稀だが,進行して発見されて予後は悪い.対策としては,安価安全な検査でピロリ菌感染の有無を全員を対象に検査する方法や,特に病原性の高い東アジア型のピロリ菌をわが国から除去する方法が考えられる.同時にピロリ菌の有無による胃がんリスクの違いを学校などで教育することも重要である.【結論】学校教育を含めた新たな胃がん対策を考えないと,胃がんは稀だが予後の悪いがんとなる.