[O-5] 中学生における尿中ナトリウム/カリウム比および推定1日食塩摂取量と血圧との関連
キーワード:血圧、尿中ナトリウム/カリウム、食塩摂取量
【目的】食塩の過剰摂取やナトリウム(Na)とカリウム(K)のバランスは高血圧の成因において重要な役割を果たす.本研究では,中学生を対象に随時尿を用いてNa/K比と推定1日食塩摂取量を評価し,血圧との関連について検討した.【方法】対象者は,A県内の某中学校に在籍した生徒457名であった.血圧は臥位安静を保持して左上腕より収縮期(SBP)および拡張期(DBP)血圧を測定した.また、検査当日に随時尿を採取してNa,K,クレアチニン濃度を測定し,Na/K比と推定1日食塩摂取量を算出した.【結果】対象者をNa/K比の4分位数を基準に分類し,性と年齢を補正して血圧を比較した結果,SBPとDBPはNa/K比が高位になるにつれて連続的に上昇した(p for trend<0.05).SBPとDBPを従属変数とする重回帰分析において,Na/K比は性,年齢,BMI(zスコア),中性脂肪,HDLコレステロール,HbA1cの補正後も有意な関連を示した.また,性,年齢,BMIを補正した上で,尿中Na濃度,K濃度,推定1日食塩摂取量を段階的に投入したモデルにおいても,Na/K比はSBPの有意な独立の規定因子となった.さらに,推定1日食塩摂取量が8.5g/日以上の高塩分摂取者で検討したところ,Na/K比が6.6以上(集団全体の75 percentileに相当)の者は6.6未満の者に比べてSBPとDBPが有意に高値であった.【結論】中学生において随時尿を用いて評価したNa/K比は,性,年齢,肥満などの共変量を補正後も血圧の有意な規定因子であり,その関連は推定1日食塩摂取量よりも強いことが示唆された.