国際開発学会第34回全国大会

講演情報

企画セッション

コンゴ盆地熱帯雨林における森林資源マネジメントの共創

2023年11月12日(日) 09:30 〜 11:30 紀-B104 (紀尾井坂ビルB104)

09:30 〜 11:30

[2C01] コンゴ盆地熱帯雨林における森林資源マネジメントの共創―住民がもつ在来知と科学知の統合から

*戸田 美佳子1、*安岡 宏和2、*本郷 峻2、*平井 將公2、*四方 篝2 (1. 上智大学、2. 京都大学)

キーワード:住民主体型保全、熱帯雨林、野生動物管理、狩猟採集民

コンゴ盆地熱帯雨林では、野生動物の肉(ブッシュミート)が人々のタンパク源となってきたが、近年、その持続性が疑問視されるようになっている。プロジェクトサイトであるカメルーン東南部では1990年代から木材生産が拡大し、その過程で整備された道路によって外部のハンターや商人のアクセスが容易になったことにより、ブッシュミート交易の野放図な拡大が懸念されている。こうした状況は、カメルーンだけでなく、世界の熱帯雨林地域で生じており、生物多様性の毀損だけでなく、重要なタンパク源の消失という観点からも、国際的な関心をあつめている。
 一方で、非木材林産物(Non-Timber Forest Products; NTFPs)、とりわけナッツ類については、森林政策において積極的な生産増大が志向されている。つまり、ブッシュミートについては制限が強められ、NTFPsについては生産が奨励される、という二つの異なる方向性の政策が推進されているのである。しかしながら、地域住民にとって、両者の多くは日常生活のなかで利用してきた食物資源であり、一方の利用が奨励され、他方の利用が制限されるような事態に対応することは困難である。それゆえ、保全当局やその他の外部からきたステークホルダーと、地域住民とのあいだにはさまざまなコンフリクトが生じている。
 そのコンフリクトを抑制・解消し、推進と地域住民の生活・文化と両立する生物多様性保全を実現することを目的として、京都大学アフリカ地域研究資料センターでは2018年度から実施中のSATREPSプロジェクト「在来知と生態学的手法の統合による革新的な森林資源マネジメントの共創(Projet Coméca)」(研究代表者:安岡宏和)を実施してきた。本企画セッションでは、登壇者がこれまでに得られた研究成果をまじえながら、社会実装へ向けた課題を整理して報告し、国際会開発を担う研究者からフィールドバックをもらい、活発な議論をしていきたい。

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