国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

講演情報

一般口頭発表

学校の内と外:教育の存立基盤を見つめなおす

2024年11月10日(日) 09:30 〜 11:30 F303 (富士見坂校舎 303)

座長: 荻巣 崇世(東京大学)

コメンテーター: 荻巣 崇世(東京大学), 友川 幸(信州大学)

09:30 〜 10:00

[2C201] ケニア・ナイロビのスラムにある低学費私立学校の運営と教師
―厳しい財政状況の中で学校が維持される理由

*澤村 信英1 (1. 大阪大学)

キーワード:低学費私立学校、学校運営、教師、ケニア、スラム

低学費の私立学校は、多くの発展途上国にあり、数多くの先行研究が存在する。また、これらの学校は初等教育の普遍化を達成するために重要な役割を果たしている。本研究の目的は、ナイロビのスラムに暮らす人々により運営される私立学校の実情を探索し、厳しい環境の中で働く教師の生活を通して、このような学校が持続的に維持される理由とその背景を明らかにすることである。なぜ、財政が逼迫する中で、そのような学校が維持され、存続するのであろうか。 
 現地調査は、2022年6月、2023年3月および2023年9月に実施した。くわえて、2023年5月から始めたA校校長(40歳、男性)との電子メールでの「日報」のやり取りなどから得たデータをもとにしている。この日報は、その日の起床から就寝まで、学校の内外での行動、観察したことや感じたことを本人の目線から500~1000ワードで記述、報告してもらうものである。これにより、現地調査期間中だけではなく、毎日、学校の様子や教師の活動を把握することが可能となり、教師の生活に寄り添った分析を行うことができる。 
 本研究の結果、このスラムの学校が、授業料収入が十分確保されず、財政的に厳しいにも関わらず持続的に維持される理由とその背景には、人々の相互依存と連帯意識、「その日暮らし」の学校運営、教師のボランィア的特性などがあることがわかった。研究の制約としては、スラム内の特定の1校を観察しているので、この学校を相対化することには限界があり、一般化することはできないことである。

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