国際開発学会第35回全国大会・人間の安全保障学会第14回年次大会

講演情報

企画セッション

人間の安全保障の新戦略の具体化と社会的連帯経済:第3戦略としての「連帯」を探る

2024年11月10日(日) 15:00 〜 17:00 F404 (富士見坂校舎 404)

15:00 〜 17:00

[2I203] 人間の安全保障の新戦略の具体化と社会的連帯経済:第3戦略としての「連帯」を探る

*高須 直子1、ゴメズ オスカル2、楊 殿閣3、斎藤 文彦4 (1. 神田外語学院、2. 立命館アジア太平洋大学、3. ソリダリダード・ジャパン、4. 龍谷大学)

キーワード:社会的連帯経済、人間の安全保障

企画の背景:UNDPは2022年に特別報告書『人新世の脅威と人間の安全保障 さらなる連帯で立ち向かうとき』を発表した。同報告書では、人間の安全保障の実現に必要な戦略である「保護」と「エンパワーメント」に、「連帯」を追加するという提言をしている。その理由は、人新世の時代に顕著になってきた脅威に対応するには、地球上すべての人々の相互依存性ならびに人間と地球の相互依存関係を体系的に考慮する必要があるため、としている。また、「連帯」を追加した概念図(UNDP, 2022, p.30)によると、「保護」、「エンパワーメント」、「連帯」の戦略が好循環を生むとある。しかし、同報告書が自認しているように、「連帯」を加えるということは具体的に何を意味するのか、詳細は提示されていない。

主要な論点:司会のゴメズは、本企画の趣旨説明として同報告書の概要を提示し、「連帯」という戦略の運用に関する提言を述べる。同提言は、格差への対応の例として社会的連帯経済を含んでいる(Gasper & Gómez, 2023)。これを踏まえ、楊発表では、NGO活動の事例を手掛かりに、農家の「連帯」戦略がいかに「保護」と「エンパワーメント」の実現に結びつくかを検討する。続いて、高須発表では、パキスタンのイスラム金融マイクロファイナンス機関の事例を「保護」、「エンパワーメント」、「連帯」の概念図に当てはめて検討する。

期待される成果:本企画は、新たな脅威の中で人間の安全保障を実現するために「保護」、「エンパワーメント」に「連帯」という戦略を加えるという2022年報告書の提言を、具体的な事例をもって検討する端緒となり、今後の広がりが期待される。また、本企画は新しい人間の安全保障の構想が、どのように人々の尊厳・生存・暮らしを守る社会を実現できるのかを提示することにも繋がる。

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