10:52 AM - 11:24 AM
[O-10-1] 拡散強調画像を用いた深部静脈血栓の描出
Keywords:deep vein thronbosis, diffusion weighted imaging
【目的】深部静脈血栓症(DVT)の画像診断は,超音波検査,造影CT検査が一般的であるが,特に,被ばく線量の増加が懸念されている。MRIは静脈血栓の診断に応用されているがDWIを用いたDVTの検出に関する報告はない。DWIでは広範囲な撮像が可能であるため,DVTが疑われた症例において,その診断と血栓の広がりを評価する目的で撮像を行った。【症例】飲酒および喫煙歴のない70歳代女性。出血性胃潰瘍の治療目的で当院を受診した。胃生検で悪性腫瘍の否定ができず,胸腹部造影CTおよび肺血流シンチ検査を施行。右肺動脈上葉に塞栓像および集積低下を認めた。下肢超音波検査で右ヒラメ筋静脈にDVTを疑う所見を認めた。血栓の検出やその広がりを検討するために,下肢MRI検査を施行。MRI検査のDWIおよびT1強調画像(T1W)は,1.5T MRI装置を用いて撮像し,血栓部の信号強度比を算出し比較検討を行った。【結果】DWIおよびT1Wの横断像から作成したMIP像は,右下腿に高信号を呈する線状・分岐状病変を認めた。横断像の融合画像で2つの高信号病変は共局在した。その病変はT1Wで右後脛骨およびヒラメ筋静脈に高信号を呈しておりDVTと判断した。また,超音波検査でDVTを疑われた部位に一致していた。DWIおよびT1Wから算出した血栓部の信号強度比は,DWIで有意に高くMIP像で周囲組織とのコトラストが明瞭であった。【結論】DWIは血栓が周囲とのコントラストが明瞭に描出されるため,血栓の広がりを俯瞰するのに有用であることが示唆された。またT1Wと共に評価することで解剖学的情報が明確となった。なおT1Wの信号強度から比較的新しい血栓と考えられ,DWIではそれが高信号として描出されることが示唆された。