第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

下肢静脈瘤4

2014年10月31日(金) 14:36 〜 15:16 第3会場 (202会議室)

座長: 田淵篤(川崎医科大学 心臓血管外科)

14:36 〜 15:16

[O-22-3] 下肢静脈瘤における静脈高血圧は逆流と静水圧上昇だけが原因なのか?

白石恭史 (白石心臓血管クリニック)

キーワード:varicose vein, venous hypertension

【はじめに】下肢静脈瘤においては逆流量とClinical classが必ずしも相関しないことが知られている。演者は静脈高血圧をきたす要因として動脈流入量(AI)の影響が重要ではないかと考えている。【目的】空気容積脈波(APG)の所見から下肢静脈瘤肢におけるAIの影響ついて検討する。【方法】対象はClass 4a以上の下肢静脈瘤症例45例55肢である。術前および術後少なくとも1ヶ月経過後にAPG検査を行った。【結果】術前および術後の臥位静脈充満指数(VFI)とAIには非常に強い正の相関(r=0.78 vs. 0.89)があった。術後には静脈容積(VV)が有意に減少し,減少率は立位でも臥位でもほぼ同じであった(平均18.4% vs. 18.3%)。また臥位VFIおよびAIも有意に低下した(低下率19.2%,15.9%)。対象の中から術前立位VFIが5.0ml/sec未満のもの24肢と7.0ml/sec以上のもの21肢を抽出して2群に別け,治療前後の減少率を比較したところ,臥位でのVV,VFI,AIは有意差を認めなかったが,立位のVV,VFIは後者が大であった。【結論】体位にかかわらず術後にVVが2割近くも減少するということは深部静脈の容積も減少していると考えざるを得ない。さらに術前の逆流量の違いで減少率に差がないことはVVの減少には逆流阻止以外の要素があることを示唆している。本研究の結果から皮膚病変を有する下肢静脈瘤肢においては逆流に加えてAIの増加が深部静脈も含めた静脈容積の増大と静脈圧の上昇をきたしていることが示唆された。