第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

その他3

2014年10月31日(金) 14:28 〜 15:16 第5会場 (201会議室)

座長: 藤村博信(市立豊中病院 心臓血管外科), 曽我部仁史(社会医療法人真泉会 今治第一病院)

14:28 〜 15:16

[O-35-6] 体外循環下開心術術後の感染症発症予測因子としてのEAA(endotoxin activity assay)の有用性

藤田淳恵, 山本経尚, 福石愛, 山崎祥子, 渡辺太治, 沼田智, 坂井修, 岡克彦, 神田圭一, 土井潔, 夜久均 (京都府立医科大学大学院 医学研究科 心臓血管外科学)

キーワード:EAA, perioperative infection

【目的】開心術後感染症は重篤な合併症の一つであり,エンドトキシンが関与している事も多い。現在,リムルス法が,血中エンドトキシン測定に用いられるが早期診断には不向きである。そこで,我々はEAA(endotoxin activity assay)に注目した。EAAとは,エンドトキシンが抗モノクロナール抗体,補体と結合し好中球に取り込まれる際に発生する活性酸素を発光・定量する方法である。一般的には0.4以上で敗血症の危険性が高いとされる。今回,体外循環下開心術患者において,EAAにより術後感染症発症を術直後に予測できるか検討を行った。【対象】心内操作を伴う体外循環下開心術100例。【方法1】術前と術直後に患者の動脈血中のEA値・リムルス法エンドトキシン量・白血球数・CRP・IL-6・TNF-α・プロカルシトニンを測定。これらと術後早期感染症発症の有無との相関を検討。【方法2】体外循環後の希釈の影響を考慮し,新たに術後EA値を設定・評価する。【結果1】100例中7例(7%)に術後早期感染(尿路感染3例,菌血症1例,呼吸器感染1例,創感染1例,菌血症・呼吸器感染併発1例)を認めた。術後EA値のみ術後感染症との相関を認めた。(感染群0.34±0.04,非感染群0.27±0.11(P=0.01))【結果2】ROC曲線より,カットオフ値は術後EA値=0.30であった。そこで「術後EA値0.3以上」を陽性群(P群),「0.3未満」を陰性群(N群)と規定し解析すると,感度100%(7/7),特異度59.6%(56/93),陰性予測値100%(56/56)となった。このことは「術後EA値0.3以上」は術後感染症の予測因子になり得る。【結論】体外循環下開心術の術後早期感染症に対する予測因子として,「術後EA値0.3以上」は術後感染症発症の危険因子となり得る。