第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(口述)

リンパ

2014年10月30日(木) 17:22 〜 18:10 第4会場 (203会議室)

座長: 廣田彰男(医療法人社団 広田内科クリニック), 新本春夫(榊原記念病院 末梢血管外科)

17:22 〜 18:10

[O-7-3] リンパドレナージを促す空気圧マッサージ器の開発―健常人における間歇的空気圧マッサージ器によるリンパドレナージ効果の検討―

前川二郎, 松原忍, 三上太郎, 北山晋也, 広富浩一 (横浜市立大学 医学部 形成外科学)

キーワード:lymphedema, IPC

【はじめに】空気圧マッサージ器のリンパドレナージ効果について実際のリンパ流を観察した報告は少なく,リンパ浮腫患者に空気圧マッサージ器を適応することに否定的な意見がある。近年,ICG蛍光リンパ管造影法が開発され,リアルタイムにリンパの動態を観察することが可能となった。今回,健常人において透明カフを用いICG赤外線蛍光リンパ造影で下肢のリンパ動態を観察し,新たな知見を得たので報告する。【対象と方法】健常人ボランティア13名の下肢を対象に,足趾間4箇所にICGを注入し,PDEシステム(浜松ホトニクス社)を用い,下腿における皮下集合リンパ管内を流れるICGの輝度変化を測定した。その後,改良型フィジカルメドマーPM-8000(メドー産業社)に透明6室カフをもつ下肢用ブーツを使用して,スクイーズ,ハイパーモード90mmHgで加圧を設定,また各空気室のいくつかの減圧パターンを設定し,加減圧時の皮下集合リンパにおける蛍光輝度の変化を測定した。【結果】蛍光リンパ造影で透明カフを透して表在リンパ流を観察することができた。加減圧パターンで輝度変化が異なるが加圧で起こる輝度変化と同様な変化が減圧時に起こることが観察できた。また,加減圧パターンの違いで減圧時の輝度変化が強く表れ,リンパ流速を早めることができると考えられた。【考察】今回の検討で新たな知見として,健常人において減圧時のリンパドレナージ効果が加圧時と同等以上得られることが分かり,空気圧マッサージ器における減圧の重要性が認識された。今後,最適な加減圧パターンの検証と加圧力の検討が必要である。