第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

PAD2

2014年10月31日(金) 14:10 〜 14:52 第7会場 (第2練習室)

座長: 古谷彰(山口労災病院 循環器外科)

14:10 〜 14:52

[P-24-3] 異なる経過をたどった膝窩動脈外膜嚢腫の2例

梅田有史, 前田英明, 服部努, 中村哲哉, 河内秀臣, 飯田絢子, 石井雄介, 河野通成, 塩野元美 (日本大学医学部心臓血管・呼吸器・総合外科)

キーワード:intermittent claudication, cystic adventitial disease

間歇性跛行をきたす動脈疾患において,膝窩動脈外膜嚢腫は極めて稀な疾患で,その疫学については不明な点が多い。症状は進行性であるが,特徴的な跛行症状は認めない。MDCT,血管造影では三日月状の偏心性,或いは砂時計状の全周性の特徴的な狭窄像を呈する。CTや超音波像検査において,膝窩動脈周囲に嚢胞状の特徴的な所見を認める。最近経験した2例について文献的考察とともに報告する。【症例1】41歳 男性。歩行時に左腓腹部,足底部の痛みを自覚。紹介医受診し,CT施行したところ,膝窩動脈外膜嚢腫が疑われ当科受診となる。超音波検査で膝窩動脈が1mmまで狭窄しており,嚢胞内はhypoechoicであった。手術の方針となるも1カ月後には症状改善し,CTでも狭窄は認めなかったため外来経過観察中である。【症例2】65歳 男性。高血圧で紹介医加療中であったが,左下肢の間欠性跛行を認め当科受診となる。足背,後脛骨動脈は触知良好で,ABI1.22/1.18と正常であった。PADは否定的で経過観察となるも,症状変わらずトレッドミルテスト施行しABIの低下を認めCT施行した。左膝窩動脈に高度狭窄認め,膝窩動脈外膜嚢腫の診断で自家静脈による間置術施行した。今回,自然緩解を得た極めて稀な例と外科的治療を行った症例を経験した。多くの症例が跛行の症状が出現するまで,長期に中膜内膜の圧迫を受け,組織変性が生じている事が推察され,嚢胞切除,ドレナージ,血管内治療は短期で再発が報告され,適切な治療選択肢とは言い難い。病変部切除,自家静脈を用いた間置術を行うことが最善と考える。