第55回日本脈管学会総会

講演情報

一般演題(ポスター)

動脈硬化2

2014年10月30日(木) 17:08 〜 17:44 第6会場 (第1練習室)

座長: 土田博光(誠潤会水戸病院 心臓血管外科)

17:08 〜 17:44

[P-4-4] 高度頸動脈硬化症の予後に関する研究:3年間フォロー

丹治直映 (東邦大学医療センター佐倉病院)

キーワード:cerebral infarction, carotid arteriosclerosis

高度頸動脈硬化症は脳梗塞のリスクと言われているが,その詳細なフォローについての検討は少ない。当院では年間4千例近くの頸動脈超音波検査を行っており,その中で高度硬化の症例の予後を軽度の症例と比較検討したので報告する。【対象と方法】2010年に頸動脈超音波検査を受け3年後に再評価を受けた症例。頸動脈の侵襲的治療を受けた症例と明らかな脳梗塞症例は除外した。頸動脈硬化はプラークスコア(PS:各最大プラーク厚の総和)で評価し,10以上を高度,5未満を軽度とした。【結果】高度頸動脈硬化症例は52例で平均年齢69.7±6.62歳(平均±標準偏差),PSは12.85±3.07であった。高度頸動脈硬化症例で抗血小板薬を服薬している症例は23例(44%)であった。また,軽度頸動脈硬化症例は74例で平均年齢68.5±6.99歳,PSは2.84±1.07であった。そのうち抗血小板薬を服薬している症例は10例(13.5%)であった。3年後のフォローで高度の1例,軽度の1例に脳梗塞が認められた。各々の脳梗塞症例は無投薬群であった。【結語】高度頸動脈硬化症は脳梗塞のリスクと言われているが,我々の以前の研究では軽度硬化症例にも脳梗塞がみられる。今回の検討では,高度狭窄の無い高度頸動脈硬化における脳梗塞の頻度は軽度硬化群と有意な差はなかった。脳梗塞リスクの評価には症例を増やした多大規模な研究が必要であるが,今回の検討では軽度頸動脈硬化群においても慎重なフォローが必要であると考えられる。