第55回日本脈管学会総会

講演情報

会長要望演題

PADに対するハイブリッド治療

2014年10月31日(金) 13:00 〜 13:50 第2会場 (アイシアター)

座長: 重松邦広(東京大学医学部 血管外科), 和泉裕一(名寄市立総合病院 心臓血管外科)

13:00 〜 13:50

[PR-16-3] 腸骨動脈血管内治療と大腿動脈血栓内膜摘除術を組み合わせたハイブリッド治療の検討

坂野比呂志, 徳永晴策, 田畑光紀, 小山明男, 前川卓史, 児玉章朗, 成田裕司, 山本清人, 古森公浩 (名古屋大学 血管外科)

キーワード:hybrid repair, PAD

【目的】総大腿動脈にも病変がおよぶ腸骨動脈領域のPADに対し血管内治療(EVT)と外科的血栓内膜摘除術(TEA)を組み合わせたハイブリッド治療(HR)の成績を検討する。【方法】2005年9月から2014年1月までに当院で施行されたHR17例(18肢)を後ろ向きに検討した。【結果】男性13例,女性3例で平均年齢69.4歳,Fontaine II度13肢,Fontaine III度以上の重症下肢虚血は5肢であった。2例を除く15例で両手術を一期的に施行した。全身麻酔6例,局所麻酔12例で,平均手術時間211分,平均出血量309gであった。周術期合併症として外腸骨動脈破裂1例,術中血栓症1例,大量出血1例,敗血症1例,創合併症4例認めた。13肢(72.2%)で大腿膝窩動脈領域に病変を認めたが,1例を除き症状は改善し,末梢病変の治療を必要としなかった。遠隔期(観察期間中央値361日)に治療病変は全例開存していた。【結論】当院での検討では腸骨動脈領域のEVT,大腿動脈に対するTEAを組み合わせたHRは多くは局所麻酔下に施行可能であり,長期成績も良好であった。またPADは病変が広範囲な事が多いが,鼠径靭帯以下の病変を合併している症例でも本治療法のみで満足のいく結果が得られることが多かった。腸骨動脈領域のEVT,大腿動脈に対するTEAはいずれも低侵襲かつ長期成績の期待できる治療法であり,両方を組み合わせたHRは有効な治療法である。