コンクリート工学年次大会2023(九州)

講演情報

第45回コンクリート工学講演会

A. 材料・施工 » 化学的侵食/耐火性

化学的侵食/耐火性

2023年7月6日(木) 09:00 〜 10:30 第4会場 (411)

座長:吉武勇 (土木),松田拓 (建築)

[1101] セメント硬化体のH2SO4劣化に及ぼすNaClの影響

吉田夏樹1, 中山健一1 (1.日本建築総合試験所)

キーワード:下水管路、H2SO4、NaCl、HCl、二水石膏、エトリンガイト、フリーデル氏塩、sewer pipe、gypsum、ettringite、friedel's salt

大阪市内の沿岸部地域では,下水管路に海水が浸入し,コンクリートのH2SO4劣化を促進させる可能性が懸念された。本研究では,海水の主要成分であるNaClを0.1 mol/L H2SO4に添加し,セメント硬化体を浸せきさせた。NaClの添加量が多くなるにつれて,硬化体の劣化度合いは大きくなった。Clを2%添加した条件では,Caの溶脱が促進されて侵食速度が速くなり,硬化体表面で二水石膏が隆起するように生成して剥離した。NaCl添加でCl-の浸透深さも大きくなり,二水石膏層などにCl-の浸透は抑制されないことが分かった。NaClの作用はH2SO4劣化を促進させ,欠損した表面からCl-が浸透して鋼材腐食も早める可能性がある。