日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

講演情報

一般演題

産科管理 助産

妊娠 分娩

2023年8月5日(土) 11:15 〜 11:45 一ツ橋ホール (日本教育会館 3F)

座長:岡垣 竜吾、関口 由紀

11:30 〜 11:35

[1A14P] 硬膜外麻酔による無痛分娩と下部尿路機能に関するアンケート調査の報告

○中田 真木1、橘 大介2、照井 克生3、亀井 良政4、坊垣 昌彦5、橘田 岳也6、古山 将康7 (1. 三井記念病院 産婦人科、2. 大阪公立大学大学院 医学研究科女性生涯医学、3. 埼玉医科大学総合医療センター 産科麻酔科、4. 埼玉医科大学病院 産婦人科、5. 東京大学医学部附属病院 麻酔科・痛みセ ンター、6. 旭川医科大学 腎泌尿器 外科学講座、7. 医療法人藤井会 石切生喜病院)

キーワード:産褥期排尿障害、排尿管理、残尿

【沿革】日本女性骨盤底医学会(JFPFM)から日本産科麻酔学会(JSOAP)へ呼びかけ、2022年11月に硬膜外麻酔による無痛分娩と排尿管理に関する共同サーベイを行った。
【方法と対象】質問票は質問項目をJFPFMが提案しJSOAPが加わって編集した。調査対象はJSOAP会員医師で、全国の硬膜外麻酔による無痛分娩実施施設のうち706施設にJSOAPの会員がいる。一斉メール、公式サイト、および学術集会でのポスター掲示によって回答を求めた。質問は、実施前の下部尿路機能評価、硬膜外麻酔を用いる無痛分娩に関する説明と承諾、実施例での分娩中と娩出後の排尿管理方針、担当するスタッフ、管理の内容と記録、実施後の下部尿路機能評価、産褥期高度排尿障害症例の経験等多岐にわたった。
【結果】回答数は65施設に留まった。完全回答は56、うち無痛分娩実施施設は49あった。実施施設による回答で、説明と承諾の中では過半数が硬膜外麻酔の膀胱・尿道機能への影響に言及しているのに比し、下部尿路機能評価を目的とする系統的問診は全く行われておらず、過半数の施設で助産師が助産の伝統・習慣により分娩中と娩出後の排尿管理を行っていた。完全回答56施設のうち43で産褥期高度排尿障害の経験があり、9施設では下部尿路機能の恒久的低下を経験していた。
【結論】本報告は、現場の実施状況と意識を知るために有益だった。ただし、回答率が低く集計結果の代表性には検討を要する。無痛分娩実施例において、今日の医学において可能な排尿機能の評価手法がほとんど活用されていない。出産する女性の下部尿路機能を守るために周産期の排尿管理改善策が必要である。