日本女性骨盤底医学会 第25回学術集会

講演情報

一般演題

病態(POP)

POP 原因と病態

2023年8月6日(日) 13:40 〜 14:00 第1会議室 (日本教育会館 8F)

座長:吉村 和晃、林 篤正

13:40 〜 13:45

[2B9P] 骨盤臓器脱発症に関する危険因子の検証

○芦刈 明日香1、嘉手川 豪心2、徳重 明央4、斎藤 誠一1、宮里 実3 (1. 琉球大学病院 腎泌尿器外科、2. 沖縄協同病院 泌尿器科、3. 琉球大学大学院医学研究科システム生理学講座、4. 琉球大学医学研究科 臨床薬理学講座)

キーワード:症例対照研究、骨盤臓器脱家族歴

【目的】国内における骨盤臓器脱(POP)の疫学的報告はあまりないのが現状である。一般的なPOPの発症リスク因子は、加齢、肥満、経膣分娩などの後天的要素があるが、欧米の報告から遺伝的(先天的)要因の関連も明らかとなっている。国内における後天的・先天的な発生危険因子を調査した。 【対象と方法】2020年4月から2023年3月の3年間で、沖縄県内の複数の検診センターと泌尿器科外来において、40歳以上の女性を対象に、骨盤臓器脱に関するアンケート調査を行った。アンケートは年齢、BMI、出産情報、既往歴・併存疾患、POP家族歴等を含み、検診センター受検者にはPelvic Floor Distress Inventory(PFDI)のPOP項目を用いてPOPのスクリーニングを行った。症例対照研究として、ロジスティック回帰分析にて検証した。 【結果】全体650人、内訳POP群(n=305)、非POP群(n=345)であった。POP群と非POP群において平均年齢67±8.3歳 vs 57±10.9歳、平均BMI 22.7±3.6 vs 25.2±3.4 kg/m2、経産数3.1±1.1 vs 2.0±1.4人といずれも有意にPOPで高値であった。POP危険因子検証に年齢のバイアスが大きくかかるため、各群の年齢をマッチングさせ分析を行った。その結果、BMIと経産数に加え、POP家族歴有りがPOP群で14%、非POP群で4.3%(p=0.039)と有意にPOP群で高くなっていた。 【結語】骨盤臓器脱危険因子として、年齢や経産数、BMIなどの後天的因子に加え、国内でも先天的因子である家族歴があることが示唆された。