第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

講演情報

口演

口演10群 看護職の確保・定着

2024年9月27日(金) 14:15 〜 15:15 第10会場 (中会議室C1+C2)

座長:吉村 浩美

[口演10-1] A病棟の働きやすいと考えている強みは

~強みを可視化した活動の効果~

永田 真弓, 児玉 憲子, 山下 隆子 (大垣市民病院)

【緒言】A病棟は、優しい雰囲気で働きやすいという発言をよく耳にする。ピーターF・ドラッカーは「何ごとかをなし遂げるのは、強みによってである。」と述べている。そこで病棟の強みと、強みを可視化した活動の効果を明らかにしたいと考えた。【目的】A病棟が働きやすいと考える要因を「強み」ととらえ、その項目を明らかにする。さらに「強み」を可視化した活動の効果を明らかにする。【方法】A病棟看護師36名中同意を得られた32名に対して、202X年6月~12月に、活動前後で「職場の『働きやすさ』評価尺度ー病院スタッフ用ー」を用いて38項目調査する。「かなり当てはまる(5点)」から「ほとんど当てはまらない(1点)」の5段階尺度である。回収方法は無記名で所定のケースで回収した。各項目の平均値を算出し、上位を「強み」ととらえ意識して行動するよう啓蒙する。活動期間は8月~9月、活動内容は、作成した用紙への記載を依頼し、毎週まとめ掲示し可視化した。倫理的配慮は文書により、自由意志による参加、匿名性を保持する事、研究結果の公表等について説明し同意を得た。B病院倫理審査委員会の承認を得た。Wilcoxsonの符号付順位和検定で調査結果の分析を行う。【結果】有効回答率は活動前84%、活動後88%であった。活動前の評価尺度の平均値は3.6で平均4.0以上の10項目を「強み」ととらえた。行動できる項目が8項目あり、上司では3項目で勤務調整・休暇取得等、職員間では5項目で、指導してくれる・助けてもらえる・労いや励ましの言葉がけがある等であった。 可視化して共有した行動実績は、助ける事が56回と最も多く、次いで師長の勤務調整が30回であった。活動後の評価尺度の平均値3.6と「強み」の項目に変化はなかった。強みで行動できる8項目の評価尺度の平均値も4.2と変化はなかった。「労いや励ましの言葉がけがある」の平均値は4.0から4.2となった。活動前後の「かなり当てはまる」の回答では、平均値7.5から8.9となり、10項目中8項目が上昇した。分析の結果、活動前後で有意差(p<0.01)を認めた。【考察】A病棟の「強み」である勤務調整・休暇取得については、職員の意向に沿うことができている。職員間では、協働についての項目が上位を占めていたことから、支援し合える関係性が築けていたと考えられる。「強み」を明確にして活動した結果、全項目も強みととらえた8項目も評価尺度の平均値に変化がなかった。「労いや励ましの言葉がけがある」の平均値は4.0から4.2と上昇している。このことは、行動実績では助ける事が最多であったが、助けてもらった際の労いや励ましの言葉がけが強く影響を与えている。「かなり当てはまる」の回答では活動前後で有意差を認め、強みに対して認識を高めることができたと考える。【実践への示唆】働きやすいと考えている「強み」とその「強み」を可視化した活動は、強みの認識を高め、働きやすさを維持できる。