第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

講演情報

口演

口演45群 看護職・多職種との協働②

2024年9月29日(日) 09:00 〜 10:00 第6会場 (大会議室A4)

座長:深尾 亜由美

[口演45-3] チーム医療の関係性構築のプロセスと方法

楠田 加代子 (尼崎新都心病院)

【背景】 チーム医療においては、他職種とのコミュニケーション、情報共有、人間関係構築の難しさによる多職種協働の困難があり、その推進には、他職種との協働できる関係性づくりが重要である。【目的】 チーム医療における専門職同士の関係性構築のプロセスと方法を明らかにする。【実践内容・方法】1.事例の概要筆者は、150床のケアミックス病院(以下、A病院)の手術室担当主任である。A病院では、看護師の業務量が増えるなか、臨床工学技士に直接介助業務を委譲することとなった。他職種との協働ではコンフリクトが起こったが、チームはコンフリクトを解決し、共に学び、患者ケアの質を高めるようになった。2.取り組みの方法 期間は、201X年1月~202X年12月。対象は、臨床工学技士7名と看護師4名の手術室チームである。情報収集は、手術室カンファレンス議事録、観察記述録から行った。チーム作りの過程を再構成し、チームの発展段階をタックマンモデルで評価した。各段階の行動、出来事を分析し、関係性構築のプロセスと方法を抽出した。3.倫理的配慮 対象者には、匿名性の確保と情報の管理について、また、実践報告として公表することを書面で説明し、同意を得た。【結果】 手術室における看護師と臨床工学技士のチーム作りの過程を分析し、以下のことが導き出された。1.専門職同士の関係性構築のプロセスは、双方向性の関係性、相互依存の関係性と発展する。2.専門職同士の関係性構築の方法は、1)双方向性の関係性を築く方法<患者カンファレンスを実施し患者の個別性を伝える><患者ケアを共に行いケアをサポートする><ミーティングを実施し意思統一を図る><情報を伝え連絡を取り合う><他職種を励まし言葉をかける>2)相互依存の関係性を築く方法<カンファレンスを実施し意見を出し合う><対話をつづけ合意する><他職種の方法に合わせる><勉強会を実施しケアリングを伝える><他職種の専門的スキルを活用する>の10個である。【考察】 看護師が、臨床工学技士のケアを信頼し、患者と臨床工学技士をつないでいったことで、臨床工学技士は、新たなケアに適応していった。また、チームメンバーとして尊重し、コミュニケーションをとりつづけていったことで、臨床工学技士は、看護師を信頼し、自らの意見を述べ、共に問題を解決していく双方向性の関係性になった。 そして、看護師が、臨床工学技士を理解しようと努めていったことで、互いに認め合い、共にコンフリクトを解決していった。また、臨床工学技士の価値観を受け入れていったことで、互いのスキルを信頼し合い、それぞれが専門性を発揮し、ケアの質を高める相互依存の関係性になった。【実践への示唆】 看護師が意図的に10個の方法を実施することが、チーム医療を機能させ、患者のケアの質向上につながる可能性が示唆された。