第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

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口演

口演5群 新興感染症への対応に関する看護職の意識

Fri. Sep 27, 2024 11:15 AM - 12:15 PM 第10会場 (中会議室C1+C2)

座長:平松 玉江

[口演5-5] 感染症病棟の看護師がCOVID-19の看護実践を通して得られた経験

創出した23概念の今後の看護実践に向けた考察

篠原 まい子, 松本 芳子, 道順 菖女 (東京逓信病院)

【緒言】COVID- 19感染が世界中で拡大し,日本においても202X年4月から緊急事態宣言が交付された.A病院では202X年1月よりCOVID-19患者(以下コロナ患者とする)の受け入れを開始し,多くの患者の看護を実践してきた.コロナ患者の対応をしている看護師は不安や疲労感を抱いているのは先行研究でも明らかになっているが,コロナ患者の看護実践を通して,どのような経験が得られたかの研究は少ない.そのため感染症病棟でコロナ患者への看護実践を通して得られた経験を明らかにすることで一般病棟や他の様々な看護の場面で活かすことができるのではないかと考えた.【目的】感染症病棟の看護師がコロナ患者への看護実践を通して得られた経験を明らかにし今後の看護実践に向けた経験の活用の可能性を考察する.【方法】(1)研究対象:感染症病棟でコロナ患者に看護を実践した経験をもつ看護師38名のうち同意を得られた27名(2)データ収集方法:同意を得た看護師27名に対して半構造化面接を行った .(3)倫理的配慮:A病院の医療倫理委員会の承認を得て(受付番号 倫ー1160)対象看護師に説明し承諾を得られた看護師に同意書に署名を得た.また個人情報の保護,研究協力への自由意志の尊重,研究協力による不利益がないこと,研究協力の中断や撤回の保証,データ管理の徹底について説明した.(4)分析方法:看護概念創出法を適応し,持続比較のための問いを「感染症病棟に勤務する看護師はコロナ患者の看護実践を通してどのような経験を得られたかと感じているか」とした.面接から得られた経験をデータとして収集しコードを作成,各コードを意味内容の同質性・異質性に従いサブカテゴリ,カテゴリ,コアカテゴを形成した.【結果】対象者より得られた27データから持続比較のための問いをかけ分析した結果,23コアカテゴリを形成した.【考察】23概念の中で回答内容が多く,感染症病棟特有の経験である[看護師・多職種との意見交換の学びと患者の問題解決の実行][閉鎖空間でのチームワークの理解と遂行][制限のある中での患者・家族に寄り添う重要性の理解と実施]の3つの概念を今後の看護実践に向けた経験の活用の可能性を考察する.カンファレンスを通じて看護師や多職種との意見交換ができ問題解決に努め,他看護師の看護観の学びにも繋がったと考える.また感染区域と清潔区域に区別されているが故,お互いの情報共有や予測した行動がより重要になる.その重要さを理解しチームワークが向上する経験をし,医療安全にも繋がると考える.そして制限のある中で患者・家族に寄り添い,ケアを模索した経験はどのような疾患の患者・家族も同様であり,看護の基本であると考える.【結論】 感染症病棟に勤務する看護師はコロナ患者の看護実践を通して,患者・家族に寄り添うことの重要性や新たな知識の習得によって自身の看護を見つめ直すことができ,新たな目標を見つける経験が得られた.