第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

講演情報

ポスター

ポスター59群 治療・検査に伴う看護

2024年9月29日(日) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (展示ホール)

座長:若松 香織

[ポスター59-2] 消化器内視鏡検査の安全な管理体制の構築

内視鏡室,病棟看護師の質問紙調査から得られた現状について

浪花 玲子1, 倉本 あいか1, 井上 孝子1, 野口 操1, 山口 由美子1, 石垣 恭子2 (1.佐世保中央病院, 2.兵庫県立大学院応用情報科学研究科)

【緒言】内視鏡治療を安全かつ苦痛なく完遂するために鎮静は必須である。中等度鎮静が基本となるが、長時間の内視鏡治療や高齢者では過鎮静となることがある。先行研究において、鎮静に関する研究や鎮静効果、危険因子に関する検討を含めた研究を認めた。しかし、病棟及び内視鏡室スタッフに関する研究は実施されておらず、入退室時の安全リスク管理に関する研究は認めなかった。【目的】本研究においては、消化器内視鏡検査・治療における鎮静に関連した安全な管理体制の構築、入退室基準の導入に向けた検証を目的とした。【方法】202x年度に内視鏡室、病棟看護師に対して内視鏡治療に関する患者管理について独自の質問紙調査を作成。設問は正答率及びVisual analogue scale(以下VAS)を使用し測定。また、内視鏡室、病棟看護師へ勉強会前後で比較検証した。質問紙の解答理由を集計しカテゴリー化した。本研究の参加は自由意志の承諾を得て、参加しない場合も不利益を得ないこと、個人情報は対象者が特定されることはないことを説明した。A病院の研究倫理審査委員会の承認を得た(承認番号 2022-36)【結果】内視鏡室看護師9名、病棟看護師28名に実施。内視鏡室看護師に対する設問で治療中の患者確認事項は勉強会前後で75~88.8%。内視鏡退室時の全身状態・覚醒レベルの観察に関する正答率は勉強会前が59.7%、後は46.8%。内視鏡退室時の病棟への申し送り項目では、勉強会前のVASは9.4、後は9.3。内視鏡治療に関する入退室時の統一した安全基準の必要性に関する質問紙調査の結果ではVASは8.7であった。カテゴリーはチェックリスト、記録、安全基準とし、サブカテゴリーとして現状、項目改善、統一化に分類できた。全てのカテゴリーにおいて、安全基準や記録の統一化の必要性についての項目を認めた。【考察】内視鏡治療中の患者確認事項では高い正答率を示していた。これは鎮静管理や治療処置に関わる為、意識的に患者を注視し観察、対応していると考えられた。病棟看護師への内視鏡退室時の全身状態の観察や申し送りに関して、質問紙調査では正答率が低い結果を示した。内視鏡治療中の観察は行えているが、鎮静深度や覚醒レベルの評価が統一されていない為、記録や申し送り内容に差異があると考えられる。また、勉強会前後の正答率の低下は、経験年数や知識習得が要因であると推察された。カテゴリー別においても入退室の安全基準や評価方法の統一化の必要性が明らかとなった。その為、内視鏡室と病棟間の偶発症の発生に踏まえた申し送りや情報共有、安全な管理体制の構築が重要であると考えられた。【結論】本研究の期間では、経験値の違いや知識習得の不足を認めており、定期的な学習が必要であった。しかし、質問紙調査やカテゴリー分析結果からも、内視鏡治療に関する入退室時の統一した安全基準の必要性について示唆された。