第55回(2024年度)日本看護学会学術集会

講演情報

ポスター

ポスター60群 看護の質向上のための取り組み②

2024年9月29日(日) 10:30 〜 11:30 ポスター会場 (展示ホール)

座長:野口 香

[ポスター60-2] 脳神経診療における診療看護師(NP)の役割

村井 祐希 (NTT東日本関東病院)

【背景】日本は医療ニーズがピークとなる2040年に向け、看護職にはさらに役割を発揮し、病気を抱えながらも住み慣れた地域で安心して暮らすことを支えていくことが期待されている。日本看護協会は、看護の基盤をもち、一定レベルの診断や治療などを行えるNPの資格を、新たに創設し急増する医療ニーズに応えていくことが必要だと考えている。現在NPは800人程度おり、救急科、外科、麻酔科、内科、循環・脳神経系と様々な分野で活動している。NPの役割は、医師、薬剤師等の他職種と連携・協働を図り,一定レベルの診療を自律的に遂行し、「症状マネジメント」を効果的、効率的、タイムリーに実施することによりQuality of life(QOL)の向上を図ることである。NPの制度化や認知度を向上させる目的で脳神経領域におけるNPの活動や役割を実践報告する。 【目的】脳神経診療におけるNPの活動・役割を実践報告する 【方法】脳神経領域でNPが関与した症例の診療内容の抽出や、診療以外のNPの活動状況を検証した。診療内容に関わる行為には、医師の確認及び同意のもと実施した。【結果】201X年からNPとして診療科に配属となり、うち4年間を脳神経領域で活動した。実践内容は救急来院、入院患者の診察、急変対応、脳血管治療・検査の助手、特定行為、退院調整を実施した。脳卒中のコーディネート役として救急患者を診察・診断から迅速に治療へ移行できるように各部署との連携し時間短縮に取り組んだ。その他に看護師への神経診察、脳卒中の勉強会を施行、看護師・医師のカンファレンスへ参加、脳卒中相談窓口では療養相談士として対応した。 【考察】脳神経外科学会はNPの導入に関して肯定的な考えを示し、特定行為を活かした人工呼吸器・循環動態管理、ドレーン管理などの術後管理や救急初療対応について看護師に移行可能と見解を示している。脳卒中では神経救急における診察・評価や特定行為を活かした高度な看護技術が提供でき、他職種間をコーディネートする中核的存在として患者・家族との円滑なコミュニケーションを含めて連携・推進できる立場を発揮できると言われている。また諸外国ではNPが初期診療や多職種間のコーディネーター役として脳卒中ケアに必要な存在と報告されている。脳神経領域のNPは期待されていることに対して現行の法律上で提供可能な医療支援業務は可能であり、役割発揮ができる分野だと考えられる。 【結論】NPが脳神経診療において役割発揮を担うことができる可能性がある。 【実践への示唆】NPは看護師・医師等医療従事者からの認知度は低く、どのように活動されているかわからないことが多い。2024年の社会的医療ニーズに応える政策として、NPの制度化に向け学術的な場でNPの実践報告をし、認知度を上げる活動をしていくことが課題である。