第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター12群 新型コロナウイルス感染症下の看護~面会制限下の患者・家族への対応~

2022年11月8日(火) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:野田 洋子

[ポスターM-12-1] 新型コロナウイルス感染症患者における抑うつと不安に関する調査

東 久美子, 高橋 彩佳, 丹 亜希子, 佐々木 睦美 (山形県立中央病院)

キーワード:新型コロナウイルス感染症、抑うつ、不安

【抄録】
【目的】A 病院は感染症指定医療機関として新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)患者の受け入れを行っている。患者からは隔離によるストレスや社会復帰の不安等が聞かれた。今後の精神的ケアのあり方の示唆を得るため、抑うつや不安になりやすいCOVID-19 患者の傾向を明らかにすることを目的とした。【方法】本研究は院内看護研究委員会倫理審査の承認を得た。対象は令和3 年7 月~ 10 月までの間にB 病棟に入院したCOVID-19 患者で、退院時に質問紙調査を実施。対象者の特性においてPHQ-9(抑うつ評価尺度)、GAD-7(不安評価尺度)の平均値の差を比較した。さらに、入院中に感じた抑うつ・不安要因に関する質問23 項目ごとに「あてはまる」「少しあてはまる」「あまりあてはまらない」「あてはまらない」の4 段階で回答を得た。分析時には「あてはまる」「少しあてはまる」をあてはまる群、「あまりあてはまらない」「あてはまらない」をあてはまらない群に分類し、PHQ-9、GAD-7 の平均値の差を比較した。【結果】退院時の症状の有無におけるPHQ-9 の平均値は、症状ありが12.17(SD4.60)で、症状なしの6.69(SD 4.52)に比べ有意に高かった。COVID-19 の重症度におけるPHQ-9 の平均値は、中等症2が10.38(SD 5.33)で、重症の5.38(SD 4.24)に比べ有意に高かった。入院中に感じた抑うつ・不安要因に関する質問においては、感染による罪悪感・疎外感、隔離による孤立感、検査結果の不安、退院後の生活の不安の項目で、あてはまる群の方があてはまらない群に比べPHQ-9、GAD-7 の平均値が有意に高かった。【考察】COVID-19 患者は身体的苦痛に加え、検査結果の不安、隔離による孤立感といった精神的苦痛や、感染による罪悪感や疎外感といった社会的苦痛を抱えており、これらが抑うつ・不安症状に影響したと考えられる。したがって、看護師は患者が抱える苦痛を理解し、気持ちに寄り添うことが必要である。入院早期よりスタッフ間での患者の精神状態についての情報共有や患者への心理教育、心療内科の介入といった精神的ケアが必要である。また、退院後の生活に支障をきたすことへの不安が抑うつ・不安症状に影響したと考えられることから、退院後の精神的ケアを提供する支援体制が必要である。