第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター13群 看護職の業務に対するモチベーション

Tue. Nov 8, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:村田 誠幸

[ポスターM-13-1] 大学病院開院時の精神科病棟開床における看護師の困難の要因

森 茉莉香1, 天野 敏江2, 松村 みゆき1 (1.国際医療福祉大学成田病院, 2.国際医療福祉大学成田看護学部看護学科)

Keywords:開院、困難、精神科開床

【抄録】
【目的】大学病院開院時の精神科病棟開床における看護師の困難の要因を明らかにし、有効な支援や期待された支援を検討する。【方法】1. 研究デザイン: 質的帰納的研究 2. 研究期間:2021 年7 月27 日~ 2021 年12 月23 日 3. 対象者: 精神科病棟の既卒看護師6 名 4. データ収集: 看護師の背景、精神科病棟開床時に看護を行う上で困難と感じた具体的内容について開床から1 年後に半構造化面接を実施 5. 分析方法: 逐語録を作成、困難の要因に関連した語りを抽出し、類似性に従ってカテゴリー化。6. 倫理的配慮: 国際医療福祉大学千葉地区倫理審査委員会の承認を受けた。(21-Nr-043)【結果】6 名の看護師経験平均年数は14.6 年、配属時の精神科経験平均年数は5.6 年、未経験者は2 名であった。精神科開床経験者はいなかった。平均面接時間は25.0 分であった。逐語録から22の<コード>、7 つの{サブカテゴリー}と5 つの[カテゴリー]が生成された。カテゴリーは、{精神科経験者が少ないこと}や{議論の場が少ないこと}から[ スタッフの共通理解が重要な精神科看護を精神科経験者が少ない新しいチームで行っていくこと]、<専門性の高い看護師がいないこと>や<他院とは異なる患者層>から[ これまでに経験のない疾患の看護]、<コロナ禍での面会や外泊の理解が得られにくいこと>や<攻撃性のある患者対応時の応援体制>から[ 組織に精神科病棟の理解が得られにくいこと]、<危険に見合った手当>や<急な他部署への応援>から[ 自らの希望の部署で安心して働ける保障がないこと]、[ 患者の安全確保や治療に適していない病棟の構造] であった。【考察】精神科看護は、多職種が多方面から患者理解を行い治療・看護の統一を図る話し合いが必要で、これまでに経験のない疾患が多い患者層では特に重要である。議論の場の不足は、看護が統一されず困難に繋がった。さらに精神科経験者が少なく教育が十分でないことも困難の要因であった。互いの能力把握や教育的側面を含め、専門・認定看護師や十分な人数の経験者を中心とした議論の場が重要であると考える。また精神科病棟開床に当たり、経験者が少ないことや専門・認定看護師の不在、待遇、応援体制が困難の要因であった。病棟における体制・システムの構築に留まらず、看護師が看護に専念できるよう組織全体の理解が必要であると考える。