第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター18群 セルフケア能力向上への支援

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:三木 幸代

[ポスターM-18-3] 外来化学療法を受ける高齢がん患者のセルフケア能力に関する研究

村田 佳子 (山口県立総合医療センター)

キーワード:高齢がん患者、外来化学療法、セルフケア能力、QOL

【抄録】
【目的】外来化学療法を受ける高齢がん患者のセルフケア能力の変化とQOL の変化や高齢者機能評価との関連性を明らかにすることである。さらに、外来化学療法を受ける高齢がん患者のセルフケア能力を低下させないための看護支援について示唆を得ることである。【方法】1)対象者:A センターにおいて外来化学療法を受ける65 歳以上のがん患者30 名、2) 調査期間:2020 年11 月19 日~ 2021 年8 月27 日、3)調査内容:セルフケア能力:SCAQ29 項目版を用いて外来化学療法導入時、1 カ月後、3 カ月後と半年後に調査、QOL:FACT-G を用いて外来化学療法導入時と半年後に調査、高齢者機能評価:G8、IADL、CCI、居住状況、mini-cog を外来化学療法導入時に調査、4)分析方法:各項目について単純集計を行い、関連の検討にはクロス集計を行った。5)倫理的配慮:研究対象者には参加の任意性と中断の自由等について書面と口頭で説明し同意を得た。【結果】1)外来化学療法導時から半年後のセルフケア能力(総得点)の変化の「上昇した群」は「維持・低下した群」と比較して、QOL の変化「10点以上上昇」が有意に多かった(66.7% vs 33.3%、 p=0.012)。また、セルフケア能力の下位尺度である「健康管理への関心」は、外来化学療法導入時に比べて半年後に低下する傾向が認められた(p=0.093)。その上、外来化学療法導入時から半年後までに「健康管理への関心」の「上昇した群」が「維持・低下した群」と比較して、QOL(点)の変化の平均値が有意に高かった(11.3 ± 8.5 vs -1.9 ± 12.4、 p=0.047)。2)外来化学療法導入時から半年後のセルフケア能力(総得点)の「上昇した群」は「維持・低下した群」と比較して、外来化学療法導入時のG8「正常」が有意に多かった(75.0% vs 25.0%、p=0.022)。【考察】外来化学療法を受ける高齢がん患者のセルフケア能力とその下位尺度の一つ「健康管理への関心」の中長期的な低下を引き起こさないための看護支援は、QOL低下の防止に繋がると考えられる。また、外来化学療法導入時のG8 を用いてセルフケア能力の中長期的な低下を予測することも効果的でないかと考えられる。