第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

Presentation information

ポスター

ポスター19群 疾病・障がいとともに暮らすことへの支援

Wed. Nov 9, 2022 9:30 AM - 10:30 AM ポスター会場 (国際展示場)

座長:高木 真希

[ポスターM-19-5] アルツハイマー型認知症患者に理解しやすい看護介入

-メッセージカードを活用して-

小林 真樹 (東京都立松沢病院)

Keywords:アルツハイマー型認知症、メッセージカード、入院時介入

【抄録】
【目的】A 病院認知症病棟の入院患者は、認知症の様々な行動・心理症状(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia、以下BPSD とする)により、自宅や施設介護が困難な現状がある。入院早期からBPSD の軽減を図り、入院環境への適応に有効な介入を行ったので報告する。【方法】言語的コミュニケーション可能なアルツハイマー型認知症患者3名を対象にXX 年X 月~ Y 月に介入した。1「本人のいる場所」「周りにいるスタッフ」「入院の理由や目的」「自宅や家族の様子」「繰り返し訴えていること」など、患者の状況解釈を補助するメッセージカード(以下カードとする)を作成した。2介入初日(入院2 日目)から8 日目までの介入内容と対象者の言語的・非言語的反応を記録した。3 BPSD 評価は、研究者が認知症困りごと質問票(以下BPSD+Q) を用いて介入初日と8 日目の2 回評価し、BPSD+Q の結果と記録内容を分析した。倫理的配慮:所属施設の看護部倫理審査会の承認を得て、研究内容・方法、結果の公表について対象者と家族に文書と口頭で説明、同意を得た。【結果】B 氏は娘に対して被害的な言動があり、入院時も混乱が強かったがカードを見せると「私は入院しているのね」と話し、娘の直筆カードには笑顔がみられ興奮や焦燥感が軽減した。BPSD+Q 点数(以下点数とする)は、入院時20 点から8 日目は8 点となった。C 氏は夫への被害妄想、易怒性が増強し在宅介護困難であり、入院直後もナースコールが頻回で帰宅要求が強かった。病院であることを繰り返し伝え、不安の訴えはカードを用いて説明すると「ありがとう」と話し、点数は入院時59 点から8 日目は34 点となった。D 氏はCOVID-19 に罹患し、治療や運動機能訓練への拒否が強くA 病院へ転院となった。入院時は拒否的であったが体調が悪い時は伝えるように説明すると「早く家に帰ってお金や銀行のことをやりたいよ」と穏やかに話し、点数は入院時20 点から8 日目は8 点となった。【考察】認知症患者の不安や気になることを軽減するために言葉だけでなく視覚にも影響を与えるメッセージカードを作成活用したことは、記憶障害と見当識障害を補うために有効なツールであったと考える。入院に伴う環境変化は不安や焦燥の増強を招くため、不安や混乱の強い入院早期からの適切な介入が重要である。