第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター20群 看護管理~労務管理~

2022年11月9日(水) 09:30 〜 10:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:竹井 しのぶ

[ポスターM-20-4] 夜勤前残業削減へ向けた看護師の意識調査と対策の検討

船越 幸恵, 宇都宮 信子, 矢山 幸子 (三萩野病院)

キーワード:夜勤前残業、看護師の意識、削減対策

【抄録】
【目的】2 交替夜勤での始業前時間外労働(以下、夜勤前残業)に対する実態と意識調査により、影響を及ぼす要因を明らかにし、削減に向けた対策を検討する【方法】1. 期間: 2021年6 月1 日~ 2022 年1 月31 日 2. 対象:A 病院の病棟看護師65 名 3. 方法:タイムレコーダーによる出勤時間及び質問紙による夜勤前残業調査 4. 調査項目:基本属性、業務内容(夜勤業務基準書の内容を列挙したものから選び所要時間も記入)、夜勤前残業に対する意識(自由記載) 5. 分析:出勤時間と業務内容は単純集計を、残業意識は内容の類似性でまとめた。<倫理的配慮>対象に研究目的、個人情報保護、得られたデータは研究以外の目的には使用しない事、不参加による不利益のない事を書面にて説明、同意を得た。尚、所属施設の倫理委員会の承認を得ている。【結果】<出勤時間>夜勤開始時間は16:30 であるが、調査期間中の出勤時間は、最早で13:42、最遅で16:30、平均14:53 で、夜勤前残業時間は平均96.2 分であった。月別・曜日別・病棟別で差異はないが、経験年数別では11 ~ 20 年目の看護師が平均より少なかった。<残業内容と意識>配布65 枚中、回収65 枚(回収率100%)。属性は、経験年数0 ~ 5 年目23 名、6 ~ 10 年目18 名、11 ~ 15 年目3 名、16 ~ 20 年目8 名、21 年目以上11 名、未記入2 名であった。業務内容は情報収集とワークシート記入30 ~ 40 分、夕食後薬準備15 ~ 20 分、申し送り10 分、その他、伝票処理等15 ~ 30 分であった。夜勤前残業に対し、なくせると思う9 名(14%)、なくせない55 名(85%)であった。15 時前後に出勤するようになった理由として、早く来て情報収集しないとインシデントを起こしそう、ルーチンワークを早く終わらせたい等の意見が聞かれた。【考察】夜勤前残業時間が月別・曜日別・病棟別での差異はなく、21 年目以上の看護師も平均並みであったことから、業務量や個人の能力ではなく組織風土による要因が影響していると考える。また、情報収集の様式変更、事務職への業務移譲により削減の余地がある事も今回の調査で分かった。働き方改革の本来の目的である、働きやすい職場作り→人材確保→生産性向上→利益増の好循環を生み出す為にも、単に労働時間短縮の強制ではなく、組織的な対応が必要である事が示唆された。