第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター28群 患者の回復と生活の質の改善に向けた看護②

2022年11月9日(水) 14:00 〜 15:00 ポスター会場 (国際展示場)

座長:栂野 加寿枝

[ポスターM-28-6] ハッチウェイ退室とベッド退室での患者に与える影響の比較

-手術直後のバイタルサインと患者の訴えを比較して-

白倉 理恵, 福田 宇純, 中冨 義人 (佐世保共済病院)

キーワード:ハッチウェイ退室、患者情報用紙、ベッド退室

【抄録】
【目的】A 病院では術後ハッチウェイ退室を行っており、前年度402/1168 件(34.4%)の患者がベッド移動時に症状出現、何らかの訴えがあった。今回ハッチウェイ退室とベッド退室で患者に与える影響を比較し、症状の誘発や患者の負担を最小限にできるかを明らかにした。【方法】令和3 年7 月~令和3 年8 月に全身麻酔下の予定手術患者。ハッチウェイ退室群、ベッド退室群(以下、ハッチウェイ群、ベッド群とする)に分け、患者の属性、体温・脈拍・SPO2 の変動値、吐気の有無、危険性の有無と退室時間を独自に作成した患者情報用紙で調査した。研究目的、参加の自由意志、不参加による不利益を被らないこと、個人が特定されないことを書面にて各部署の掲示板に掲示した。データは正規性の確認後、対応のないt検定またはマンホイットニーU 検定を行い有意水準は5%未満とした。吐気、危険性の有無、退室時間は記述統計を行った。【結果】ハッチウェイ群80 名、ベッド群96 名で性別、手術の種類、手術時間、出血量に差はなかった。体温・脈拍・SPO2 の変動値の差はすべて有意差があった(P < 0.05)。吐気有りはハッチウェイ群12 件、ベッド群8 件であった。危険性(体内留置物の抜去、牽引)有りはハッチウェイ群12 件、ベッド群2 件であった。退室時間は、ハッチウェイ群が平均10 分18 秒(SD 2.718)、ベッド群が平均4分05 秒(SD 1.309)であった。【考察】ハッチウェイ群は温めていないストレッチャーに移乗し、待ち時間が長いことや2 回の移動で皮膚が露出する時間が多く、暖かい手術部屋から温度差のある前室で着替えることが外的要因の影響を受けやすいのに対し、ベッド群は1 回の移動で、暖かい部屋で着替えることができるため皮膚の露出も少ないことから有意差がみられたと考える。今回ベッド退室を導入し、患者は退室まで手術部屋内で待機することが可能になり、症状の訴えがあった場合でもすぐに薬剤使用など対応をすることができ早期に苦痛の軽減を図ることができるようになった。患者の苦痛を早期に軽減することで症状を緩和しバイタルサインの安定につながり、退室時間を短縮することができたと考える。このことからハッチウェイ群よりベッド群の方が患者の症状誘発を最小限にすることができ患者にとってより良い退室となると示唆されるが、症例数が少なかったことは研究の限界であった。