第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター31群 看護管理~質管理~

2022年11月9日(水) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:中村 くに子

[ポスターM-31-1] 新型コロナウイルス感染症患者の看護ケアを担当する看護係長のレジリエンス

佐竹 孝文, 角谷 倫代, 大塩 淳, 田中 江利香, 西 千晶, 阿比留 美由岐 (徳島赤十字病院)

キーワード:新型コロナウイルス感染症患者、レジリエンス、看護係長、体験

【抄録】
【目的】A 病院の看護係長が新型コロナウイルス感染症(以下COVID-19)患者の看護ケアを実践した体験から得られたレジリエンスを明らかにし,今後の看護ケアやリーダーシップの質向上を図る.【方法】研究デザイン: 質的記述的研究.研究対象:A 病院のCOVID-19 患者の看護ケアを実践した看護係長のうち,赤十字管理者ラダー1 を取得している6 名.調査期間:2021 年9 月13 日から10 月29 日.データの収集方法: インタビューガイドに基づき,半構成面接を行った.面接は以下の内容について語りを得た.「逆境と感じた出来事」「逆境にどう対処したか」「体験が現在の看護にどう影響しているか」. 分析方法: 逐語録から内容を概念化しカテゴリーに分類した.倫理的配慮: 研究対象者に口頭と書面で同意を得た.プライバシー保護に努め,個人が特定されることがないよう配慮した.【結果】逆境と感じた体験には,感染への不安を抱え,不慣れな業務や人間関係の中でリーダーシップをとる状況が挙げられた.レジリエンスに関連した逐語録データ分析の結果,145 のコードが得られ,20 のサブカテゴリーにまとまり、〈主体的な対処方法〉〈前向きさ〉〈看護師としてのやりがい〉〈自分を支援してくれるすべてへの感謝〉〈看護師としての使命感・責任感〉〈看護観・看護管理観の再考〉の6 つのカテゴリーが抽出された.【考察】看護係長は感染予防のためのベッドサイドケア時間の制約を体験し,無力感やジレンマを抱えていた.これらに対し〈看護観・看護管理観の再考〉を行い,時間管理の重要性を再認識し,限られた時間の中で優先順位を考えながらケアを行っていた.また〈自分を支援してくれるすべてへの感謝〉を積極的に行い,ストレス軽減に努めていた.職場環境構築という面では,主に応援スタッフとして選任された看護係長とスタッフナースで構成されるCOVID-19 専用病棟でのチーム作りのために,柔軟で多面的な思考力を持ち,感情をコントロールし,コミュニケーションをとることで信頼関係構築に努めていた. 看護係長はCOVID-19 患者に対する看護実践を振り返り,現在の看護の質に影響を与えていることに気付き,レジリエンスを高め,自己成長に繋げていた.リーダーとしての役割を持つ看護係長のレジリエンスを高めることが,チームを活性化し,組織のレジリエンス強化に繋がっていることが示唆された.