第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター33群 安全・安楽への支援③

2022年11月9日(水) 15:30 〜 16:30 ポスター会場 (国際展示場)

座長:殿谷 淳子

[ポスターM-33-2] 術後離床時の合併症のリスクに対する意識と離床技術の向上を目指した講義とシミュレーション教育の有効性

大瀨良 智香子, 永井 彩乃, 安村 美穂, 三浦 いずみ (山口県済生会下関総合病院)

キーワード:術後離床時の合併症、離床技術、シミュレーション

【抄録】
【目的】術後離床時の合併症に遭遇した看護師が少ないため,離床時の合併症のリスクに対する意識と離床技術の向上に講義とシミュレーション教育が有効であるか検討する。【方法】対象:外科系病棟勤務経験4 年未満の看護師9 名(以下A 群)と4 年以上の看護師19 名(以下B 群)の計28 名。期間:令和2 年9 月~令和3 年4 月。研究方法:(1)先行研究を参考に,16 項目の「術後離床に関するアンケート」を作成し実施。アンケートは4 段階評定尺度(4:よくあった,3:時々あった,2:あまりなかった,1:なかった)とし,離床の際に困ったことは自由記載とした。(2)離床時に肺血栓塞栓症を発症した事例を用いて,研究者が患者役・観察役,対象者が看護師役でシミュレーションを実施。チェックリストを用いて1 点:できる,0 点:できないで評価。(3)外科医師と協働し,肺血栓塞栓症と早期離床の講義を実施((2)(3)を以後介入とする)。介入後(1)(2)を再度実施。分析方法:アンケート結果は,エクセル統計2016 を用いてウィルコクソン符号付順位和検定で比較し,シミュレーション結果はマクニマー検定で比較した。倫理的配慮:所属施設の看護部倫理委員会の承認を得て,研究の目的と内容を書面で看護師に説明し同意を得た。【結果】アンケートの結果,A 群とB 群ともに「離床時の困難感」(逆転項目)で介入後有意に上昇した(p < 0.05)。さらにB 群では「離床遅延の指摘の有無」(逆転項目),「既往歴の確認」,「術当日の深呼吸の促し」で介入後有意に上昇した(p < 0.05)。シミュレーション結果は,A群とB 群で「段階的な離床」,「ベッド上での足関節の自動運動」で有意に上昇した(p < 0.05)。また,B 群は「深部静脈血栓症のリスクチェック」,「深部静脈血栓症の症状」で有意に上昇した(p < 0.05)。【考察】講義によって術後の離床方法を改めて学ぶことができ,離床時の困難感は全体的に改善した。また,シミュレーション教育については,離床時に合併症が起こるリスクと,離床を段階的に行うことの重要性を再認識することに有効だった。アンケートとシミュレーションのどちらにおいても,A 群よりB 群の方が介入後有意に上昇した項目が多かったのは,経験年数が多い看護師ほど患者の状態変化を予測することができ,さらに学習内容を経験と関連づけて実践できたためといえる。