第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター33群 安全・安楽への支援③

Wed. Nov 9, 2022 3:30 PM - 4:30 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:殿谷 淳子

[ポスターM-33-3] 神経難病専門病院における全身けいれん発作対応への看護の現状と課題

秋山 祥子, 板山 伊利子, 長峰 一志 (東京都立神経病院)

Keywords:全身けいれん発作、観察、シミュレーション

【抄録】
【目的】患者の全身性のけいれん症状に対する看護について、現状および課題を把握し看護師の対応の質向上を図る【方法】因子探索に基づく量的研究。看護職員234 名に対し「全身けいれん」について6 のカテゴリー(「安全確保」「意識状態の観察」「呼吸状態の観察」「けいれん中の誤嚥」「緊急度判断」「疾患特有の対応」)を33 の対応に項目立てしアンケートを実施した。調査内容は33 の対応の「経験の有無」と「知識」「実践力」「アセスメント」「不安の程度」について5 段階で自己評価し、評価理由を自由記載とした。単純・クロス集計したデータを分析した。【結果】アンケート回収率は回答者199名で85.0% であった。看護師経験年数の平均値は15.4 年、神経難病経験年数の平均値は9.6 年であり、全身けいれん状態の患者対応は、76.4% に経験があり、カテゴリー「安全確保」「意識状態の観察」「呼吸状態の観察」「けいれん中の誤嚥」「緊急度判断」については経験があり自己評価は4 以上で肯定評価をしていた。「疾患特有の対応」は経験がなく自己評価は平均値で、知識が3.1、実践力が3.0 と他のカテゴリーと比して低値であった。看護職歴・神経難病の看護経験それぞれにおいて、「全身けいれん状態の患者対応経験」「てんかんの強直間代発作対応経験」は、「知識」「実践力」「アセスメント」「不安の程度」の平均値の差のt検定では、すべての項目において有意差が認められた。【考察】看護師は「全身けいれん時の患者対応」について、『患者の安全確保に関する観察と対応』は、知識や実践力など自信をもって看護実践できていることが明らかとなった。一方で、全身けいれん発作時の前駆症状やけいれん中の記憶の確認など「疾患特有の対応」については、『診断や治療に結び付くけいれん時の看護実践』が十分とは言えないことが示唆された。急変時対応は、シミュレーションや繰り返し患者対応をしてきたことで、『患者の安全確保に関する観察と対応』が実践に繋がっているが、『診断や治療に結び付くけいれん時の看護実践』は学ぶ機会が少ないことが要因の一つである。全身けいれん発作時の看護実践の質向上のために、場面想定のシミュレーショントレーニングや、全身けいれん発作対応時の事例の振り返りなど、神経難病疾患特有の教育介入が必要である。