第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター6群 在宅療養移行支援②

2022年11月8日(火) 14:00 〜 15:00 ポスター会場 (国際展示場)

座長:栁澤 節子

[ポスターM-6-3] COVID-19 病棟の認知症および高齢者の退院支援・調整において病棟看護師の実践ケアの現状調査

俵 周平 (東京都立墨東病院)

キーワード:認知症、退院支援、急性期、高齢者、COVID-19

【抄録】
【目的】一般~コロナ禍における急性期病院の看護師が認知症患者および高齢者の退院支援を行う際の課題を明らかにする事を目的とする。【方法】1)研究対象 A 病院COVID-19病棟に勤務する看護師69 名 2)研究デザイン 量的研究(関係探索型)3)調査方法 留め置き法による無記名自記式質問紙調査〈調査内容〉1)対象者の背景:看護師経験年数、認知症看護ケア、退院支援に関する研修会参加経験の有無など7項目 2)退院支援・調整に対する困難感 3)認知症及び高齢者の対応への困難感 4)認知症及び高齢者への退院支援・調整に必要な看護師の知識と実践ケアについて研究者が作成した34 項目から成る質問紙を使用、質問紙は4 段階の選択肢を1~ 4 に数値化し基本的統計量を算出し、回答に対象者の背景による違いがあるかKruskal-Wallis 検定を行った。有意水準は5%未満とした。【結果】1)本テーマの課題(4 件法にて2.30以下)は①本当に今の治療や検査が必要なのか議論ができる(2.00)②患者に合わせた対応をじっくり検討できる(2.13)③患者、家族へ十分な情報提供を行える(2.13)④「患者、家族の共通の目標を見出すことができる(2.20)⑤意思の表出が難しい患者の代弁を医師へ行える(2.20)⑥患者と対話する時間が作れている(2.25)⑦意思表出が難しい患者の苦痛に気づきケアを行える(2.30)⑧多職種と連携し必要な社会資源を提案できる(2.30)であった。2)課題1)に対して認知症ケアと退院支援に関する研修会に参加した群の方が看護ケア能力を高く認識している傾向にあり、課題①、③、④、⑤、⑦、⑧について有意差がみられた。【考察】一般~コロナ禍におけるA 病院の看護師が認知症患者の退院支援を行う際の課題として、意思決定支援不足が明らかとなった。調査の結果、意思決定支援に関する項目は全ての数値が低く早急に解決すべき倫理的な課題であると考える。背景としてコロナ禍における面会制限があり患者やその家族と十分なコミュニケーションがとれず、患者の次のステージを見据えたサポートが難しい現状にあった。同時に退院支援に必要不可欠な多職種との連携不足も課題として挙げられた。最後に課題②、⑥については研修経験での有意差は無く、専門チームでの介入など組織的な改革が必要であると考える。