第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

ポスター

ポスター6群 在宅療養移行支援②

2022年11月8日(火) 14:00 〜 15:00 ポスター会場 (国際展示場)

座長:栁澤 節子

[ポスターM-6-5] 患者・家族の意思を尊重した退院支援

猪尻 桃恵1, 青山 久美子1, 澤岡 美咲2 (1.三原赤十字病院, 2.県立広島大学保健福祉学部保健福祉学科)

キーワード:退院支援、意思決定、一般病棟

【抄録】
【目的】患者が安心して療養生活を継続するためには,早期から退院支援を行う必要があるが,退院先が決まらず入院期間が延長している現状がある。先行研究では,業務の忙しさや,医療者と患者・家族との考えの差などの要因が重なり患者の意思を尊重した退院支援が困難になっていることが明らかとなっている。またCovid-19(以下コロナ)の流行は退院支援をさらに困難にさせていると考える。そこで本研究の目的は、A 病棟のコロナ禍前後における退院支援の困難さを明らかにし,患者・家族の意思を尊重した退院支援について検討を行うことである。【方法】2021 年9 月から10 月の間で,A 病棟に勤務する看護師21 名を対象に調査をおこなった。対象者には,調査の目的,自由意思による参加について説明を行い,質問紙の提出をもって同意を得た。退院支援困難であったと感じた場面と理由を詳細に記述してもらい,類似性に沿って分類,分析を行った。なお,本研究は調査対象施設の倫理審査委員会の承認を得て実施した。【結果】質問紙の回収数は18 名(回収率85.7%)で回答した看護師全員が退院支援に困難を感じていた。退院支援を困難にさせている要因として,コロナ禍前では22 コード,8 サブカテゴリーとなり,[ 患者の認識不足による困難][ 家族の理解や協力が得られないことによる困難][ 連携不足による困難][ 業務負担の増加による困難][ 患者の意向が尊重できない困難] の5 カテゴリーが抽出された。コロナ禍後では,18 コード,4 サブカテゴリーとなり,[ 対面できないことによる困難][ 業務負担の増加による困難] の2 カテゴリーが抽出された。【考察】分析の結果,患者との関わりよりも家族との関わりが難しいと感じている看護師が多いことが明らかになった。その理由として,看護師が家族にどう納得してもらうかに重きを置いて退院支援を行っているのではないかと考える。患者,家族の意思を尊重した退院支援を行うためには,早期から双方の思いを確認し,話し合いの場や情報をタイムリーに提供する必要がある。一方,コロナ禍後では,他職種との連携不足による困難を感じている看護師は減っており, 退院調整を行うMSW などと連携を行うこと自体が少ないためであると考える。しかし,患者・家族の意思を尊重した退院支援を行うには他職種連携が重要であり,連携体制を整備する必要があると考える。