第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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ポスター

ポスター9群 看護教育~臨地実習指導~

Tue. Nov 8, 2022 2:00 PM - 3:00 PM ポスター会場 (国際展示場)

座長:今野 朱美

[ポスターM-9-3] 急性期病棟における臨地実習指導者のジレンマと指導者育成の在り方

田中 静華, 池上 知嘉子 (日本鋼管福山病院)

Keywords:急性期病棟、実習指導者ジレンマ、実習指導者育成

【抄録】
【目的】急性期病棟では患者の在院日数は短く、場合によっては他病棟への移動もある。学生にとっては、新たな受け持ち患者での看護展開にストレスを感じ、モチベーションの低下をきたすため、指導者には学生の気持ちを理解した対応が求められる。本研究では、急性期病棟で実習指導を行う看護師が感じているジレンマを明らかにし、臨地実習指導の充実に向けた伝達講習の在り方を検討する。【方法】都道府県保健師助産師看護師実習指導者講習会を未受講で、急性期病棟にて実習指導を行なう看護師4 名に対し、インタビューを実施した。研究の趣旨、協力と中断は自由意思であり断っても不利益を生じないこと、データの管理方法と匿名性の保持について説明し、同意を得た。インタビューガイドを用いて半構成的面接を行い、逐語録から内容をコード化し、意味内容の類似性に従ってカテゴリー化した。【結果】50 のコードから16 のサブカテゴリー、5 のカテゴリーを抽出した。カテゴリーは<入院期間が短く疾患の展開が速いことへの配慮><業務と実習指導の両立><病棟看護師との関係>と、指導に関する<学生のレディネス把握困難><指導への自信のなさ>に分けられた。【考察】急性期病棟では1人の患者を継続的に受け持つことが困難であり、同疾患患者や既習内容を考慮した患者選定を行い、学生の士気を下げない関わりを工夫していた。その中で、指導者は学生個々の知識や経験の差から生じる指導のジレンマも感じており、事前に教員と面談しレディネスを把握した上で臨地実習に臨む体制作りが今後の課題となった。また、指導者は急性期病棟での経験が少ない中でも指導を任されるなど、不安を抱えて実習指導を担っていた。さらには、処置や手術などの多忙な業務を手伝えない申し訳なさを感じつつも、学生とのケアを周囲のスタッフへ依頼するのは気兼ねするなど、良い関係性の中で業務を遂行したいという急性期病棟特有のジレンマを抱えていた。現在は都道府県保健師助産師看護師実習指導者講習会の内容を抜粋し、実習指導を担う看護師へ講習を行っているが、今後は指導者の抱えるジレンマをも配慮した講習内容の構築と、指導に携わっている看護師への定期的なフォローを検討したい。