第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演1群 健やかに生まれ・育つことへの支援①

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 口演会場1 (302)

座長:山西 雅子

[口演M-1-1] A 病院産婦人科病棟で受け入れたCOVID-19陽性妊産婦が抱く思い

橋口 亜紀子, 井手 文香, 西田 珠美, 長友 千晴, 山下 麻実, 中村 麻希子, 小川 恵美子, 田代 和代, 田中 優子, 肥後 貴史 (古賀総合病院)

キーワード:COVID-19陽性妊産婦、産婦人科内COVID病棟、妊産婦の気持ち

【抄録】
【目的】COVID-19(以下コロナ)陽性妊産婦への支援について検討するために、A 病院(地域周産期母子医療センター)に入院したコロナ陽性妊産婦が抱く思いを明らかにする。【方法】コロナ流行第1 波から第2 波の時期にA 病院に入院したコロナ陽性妊産婦6 名(属性:初産婦3 名、経産婦3 名、うちコロナ陽性中に出産した妊婦4 名)に、個別でオンラインによる半構造化インタビューを実施した。感染が判明した場面、防護服を着用した医療者と関わった場面など、入院から退院後のプロセスにおいて、気持ちが揺れ動くと思われた8 場面について、その思いを尋ねた。データは逐語録化し質的記述的方法で分析した。本研究の趣旨と対象者の匿名性及びプライバシーの保護、参加及び撤回の自由等を文書と口頭で説明し同意を得た。なお、A 病院研究倫理委員会の承認を得た。(承認番号第21-16 号)【結果】感染判明から退院後の8 場面まで、86 個のコードから40 個のサブカテゴリー、20個のカテゴリーが抽出された。感染が判明した場面から児が誕生した場面では<経腟分娩での出産を望む気持ち><防護服を着用した医療者の声や目の表情で感情は伝わる><帝王切開する現実を受け入れ児の誕生を望む><イメージしていた出産と違う孤独感>などの10 個のカテゴリーが、また児と隔離されている場面から退院後の場面では<隔離されていても母親としての役割ができる><医療者との関わりが精神的な支え><児への違和感><児と同室することで徐々に出産を実感><感染によるすべての体験を「いい経験」と捉える><感染によるすべての体験に対し退院後も葛藤を持ち続ける>などの10 個のカテゴリーが抽出された。【考察】研究対象者6 名は入院治療や帝王切開、児との隔離など短期間の中、葛藤を繰り返しながら様々な決断をしてることがわかった。また、感染によるすべての体験を「いい経験」と受け止め育児に取り組もうとする姿勢も見られる一方で退院後も葛藤を持ち続ける対象者がおりこれらを踏まえた支援の必要性が示唆された。今回、COVID-19 陽性妊産婦6 名の思いについて、そのプロセスを含め詳細を明らかにしたい思いからカテゴリー数が多くなり充分な抽象化ができているとはいいがたいが、その思いの一端を明らかにすることは出来たと考える。今後さらにデータの積み重ねを行っていきたい。