第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

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口演

口演1群 健やかに生まれ・育つことへの支援①

Tue. Nov 8, 2022 11:30 AM - 12:30 PM 口演会場1 (302)

座長:山西 雅子

[口演M-1-5] コロナ禍における妊産婦の思いの変化

清水 舞, 小林 紀子 (三豊総合病院)

Keywords:妊産婦の思い、産後うつ、コロナ禍、周産期メンタルヘルス

【抄録】
【目的】近年、コロナ禍の影響で、妊産婦を取り巻く環境はサポート不足や孤立化といった問題が山積し、妊産婦のメンタルヘルスの不調が増加していると言われている。A 病院でも個別指導をする中で、以前に比べて妊産婦の思いが複雑化してきたと感じていた。そこで、今回妊産婦の思いや産後うつ病指標である質問紙(育児支援チェックリスト、エジンバラ産後うつ病質問票:EPDS、赤ちゃんへの気持ち質問票:ボンディング)の変化を明らかにし、今後の看護支援に対する示唆を得ることを目的に本研究に取り組んだ。【方法】研究の趣旨を説明し同意が得られた妊産婦5 名。妊娠28 週~34 週・妊娠37 週~ 38 週・産褥4 日目・産後1 ヵ月健診時にインタビューした。各時期の思いをデータ化し、質的記述的に分析した。また質問紙は点数化し、内容の変化を確認した。【結果】インタビューより、「妊娠への思い」「出産への思い」「育児への思い」「感染への思い」「分娩施設に対する思い」「医療者に対する思い」の6 つのカテゴリーが抽出された。EPDS とボンディングの点数は低下傾向であったが、得点差はあった。育児支援チェックリストはほぼ変化はなかった。【考察】カテゴリー別の思いの変化は、「感染への思い」では、感染への不安や恐怖はどの時期にもみられた。しかし、産後、不安は軽減しているという言葉もあった。助産師が妊娠中から産後も感染予防を含めた保健指導を実施し、コロナ禍での赤ちゃんとの生活を受け入れられたことや調査中感染者が減少したことが要因と考えられた。「分娩施設に対する思い」では、面会や立ち会い分娩が禁止となり、妊娠中は不安や孤独を感じていた。しかし、産後は助産師が細やかな育児指導を実施したことやリモート面会を促したことで、母親自身がペースがつかめ赤ちゃんとゆっくり過ごせ、また離れていても家族と繋がりがあると実感でき、思っていたより不安ではなかったという言葉に繋がったと考えられた。「医療者に対する思い」では、オンラインで出産準備教室や個別指導を実施したこと、入院中は常に助産師が傍にいたこと、退院後はいつでも相談できたと実感したことが、助産師に対する安心感を抱いたと考えられた。今回、妊産婦はコロナ禍の中で不安や恐怖、孤独などのネガティブな思いを抱いていた。しかし、助産師の思いに寄り添ったケアで妊産婦が前向きな思いへと変化することが示唆された。