第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演10群 看護教育~基礎教育①~

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 口演会場4 (102)

座長:西村 宣子

[口演M-10-3] シミュレーション教育における術後早期離床場面の学内演習からの学び

-演習終了時のレポートから見た臨床判断に関する学びの分析-

佐藤 ゆかり, 森 莉那, 高橋 佳子 (愛知医科大学看護学部)

キーワード:臨床判断、早期離床、シミュレーション教育

【抄録】
【目的】術後離床に関するシミュレーション後のレポートに記載された内容から,患者の離床時の看護について,どのような判断をしたかをTanner の臨床判断モデルの視点から抽出することで学びの全体像を把握し,今後のシミュレーション教育および臨床実習指導への示唆を得る.【方法】質的記述的研究デザイン. 対象は3 学年次前期開講の成人看護学急性期科目の「シミュレーション演習」を受講したA大学看護学部生. 冠動脈バイパス術を受けた患者事例の術後の離床のシミュレーションにおけるレポートの内容分析を実施した.学生が着目した患者の状態と判断について,Tanner の臨床判断モデルの4 つ(気づき,解釈,反応,省察)の視点から分析を行った.所属大学の倫理審査承認後に実施した.【結果】学生の学びは[多面的なリスクを予測した情報収集の必要性][情報の根拠の必要性と意味への気づき](気づき),[根拠に基づいたアセスメント][事前にリスクを予想した対応方法の立案][症状の関連性を踏まえ優先順位を考えた観察計画の立案][患者の希望を考慮して捉える全体像][ステップアップ基準を確認して判断する離床進行] (解釈),[離床時の創傷痛への配慮のための情報収集と判断][患者の訴えへのとっさの対応][急変時の報告][早期離床に向けて思考した看護](反応),[観察は根拠を持ち関連性や優先順位を踏まえて観察する大切さに気付く][症状を適切に判断することの重要性][事前の情報からリスク回避を考えることの重要性][離床時は明確な目的をもって実施することの重要性][患者の苦痛に配慮した安全・安楽の思考][報告の手順の大切さの気付く][看護実践のための知識や技術の不足に気付く](省察)の18 カテゴリが抽出された.【考察】学生が,術後の早期離床に関するシミュレーションにおいて,急変場面で多面的な思考を展開させていることが分かり,Tanner の臨床判断はそれぞれのシミュレーション場面で確認できた.しかし,学生は知識や技術が不足しているという学修不足に気づくものの,今後の対策に関する内容はなく,次の学修に動機づけられる省察は確認できなかった.このことから,シミュレーションに至るまでの準備性が高まる学修支援によって,シミュレーションでの成功体験を持ち,次に繋がるようなプログラムを思考する必要性が示唆された.