第53回(2022年度)日本看護学会学術集会 幕張

講演情報

口演

口演19群 看護職の業務に対する困難感①

2022年11月8日(火) 11:30 〜 12:30 口演会場7 (105)

座長:梅内 美保子

[口演M-19-5] 鎮静に関する検討会を開催するまでの看護師の苦悩

鬼澤 千鶴, 下川 文子, 深谷 由香 (水戸赤十字病院)

キーワード:鎮静、検討会、看護師の苦悩

【抄録】
【目的】A 病院の緩和ケア病棟では、鎮静マニュアルを導入し、そのマニュアルに沿って鎮静に関する検討会を開催している。本研究は、検討会を開催するまでの看護師の苦悩を明らかにする。【方法】令和3 年9 月1 日~ 15 日の間に研究対象13 名に、研究者の経験と過去の文献を参考に独自に作成した検討会を開催するにあたり看護師が抱える苦悩、要因を問う選択肢+自由記述式アンケートを実施した。自由記述式は類似性に着目して分類しカテゴリー化した。協力の同意は文書で説明し、確認欄のチェックをもって同意を確認した。【結果】選択肢アンケートは鎮静導入に関するもの、実施に関するもの、組織・体制に関するものの3 つの項目で実施した。鎮静に関して悪いイメージや罪悪感は少なかったが、実施時には精神的負担を抱いており、組織や体制に関しては医療者間で見解の違いを感じていた。自由記述の回答からは、看護師、患者・家族、医療者に関する3 つのカテゴリーが導き出された。看護師に関するものは9 項目あり、「意思確認のタイミングが難しい」「知識不足や経験不足がある」「導入時期は適切か悩んだ」の項目が上位であった。患者・家族に関するものは5 項目あり、「コロナ禍による面会制限の影響がある」「患者と家族の希望にズレがある」「医療者と患者・家族の意見にズレがある」の項目が上位であった。医療者に関するものは、「医師によって考え方に差がある」の1 つのみであった。【考察】マニュアル導入後も知識・経験不足を自覚しており、迷いや自信の無さへ繋がり苦悩を感じていた。検討会開催のタイミングが鎮静開始へ結びつくと感じ、適切な開催時期の判断の難しさを感じていることが読み取れた。患者・家族への介入では先行研究と同様に困難感を抱いており、コロナ禍による面会制限で家族への関わりが減少し従来よりも鎮静の意思確認をすることへの困難さが増していた。患者・家族間、医療者と患者・家族間の希望のズレが生じている中で、責任の重大さから精神的負担による苦悩を抱えていた。患者と家族、医療者が十分に話し合える環境を持つことが難しい現状において、患者自身が意思決定できるうちに思いを表出できるような関わりをし、患者の希望に沿った介入ができるように関わることが重要である。早期からACP を実践し、患者が望む緩和ケアを行っていくことで看護師の苦悩の軽減にも繋げられるのではないかと考える。